第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第37話 外界っ子バトル:中編
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、その基準が分からないのだ。
つまり、今回の勇美の戦い方は半ば行き当たりばったりなのである。
「でも、ちゃんと戦える事は立証済みだよ。アイアンサハギン、どんどんやっちゃって!」
前向き思考をする事にした勇美の合図を受けて、鉄の魚人は空いている方の腕を振りかぶり、早苗の懐を狙った。
「させません!」
だが、早苗もそう易々と攻撃を通させる気はないのだ。魚人が左手の攻撃をする為に右手が棒から離れた瞬間に、それを左手の動きに合わせたのだ。
そして再び鳴り響く妙な音。
爪の攻撃が放たれては、棒の霊力に受け止められる。その当てどない状況がずっと続くかと思われた。しかし。
「くっ……」
早苗の動きの方に鈍りが見られてきたのだ。
幾ら早苗が神の血を引いた『現人神』であっても、肉体は人間なのだ。当然神のような耐久力もなく、人間同様に疲弊する。
それに対して、勇美の作り出した魚人は機械仕掛けなのだ。それをコントロールする為にエネルギーは当然消費するが、人間の運動時のそれに比べたら微々たるものなのだ。
その事が生み出すチャンスを、勇美は見逃さなかった。動きの鈍った早苗の一瞬の隙を見定めると、そこを狙う。
「アイアンサハギン、そこよ!」
『シャアアアアッ!』
勇美の合図に魚人が機械とは思えない生々しい咆哮を上げると、両手の爪を一気に早苗目掛けて振り降ろしたのだった。
刃物が擦られるような鋭い音を奏でながら、魚人の攻撃は早苗を見事に捉えた。
「きゃあっ……!」
攻撃をその身に受けた早苗は、痛みを覚えて後退してしまった。
それを見て勇美は得意顔になる。
「どうですか先輩? 私の儀式の産物は?」
「っ……」
早苗は攻撃のダメージと、勇美に挑発的に『先輩』と呼ばれた事により言葉を濁した。
だが、それも束の間の事であった。
「どうやらあなたを少々見くびっていたようですよ、後輩ちゃん♪」
「早苗さん!?」
その瞬間、勇美はハッとなった。
「早苗さん、あなたこそ後輩ちゃんな髪の色してるじゃありませんか?」
「……それは別次元の話だからやめて下さい」
早苗は項垂れた。折角人が上手くキメたと思った所に水を差しやがるかこいつはと心の中で憤慨するのであった。私はどこぞの『でっかい』が口癖のロリっ娘だと。
「はい、本題入ります」
「うん、悪ノリしてごめんなさい」
窘める早苗に、勇美は素直に謝った。
その直後、早苗の周囲に風が舞った。そして。
「……空を飛ぶんですか?」
勇美が今起こった事の答えを言った。早苗は風に乗るかのように宙に浮き始めたのだった。
「ええ、私には空中戦の方が分がありますからね♪」
早苗は得意気に言うと、その体を空へと浮き上がらせるのだった。
「あっ……」
これは想定
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