第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第37話 外界っ子バトル:中編
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から、これは譲れませんよ!」
そんな言い争いの最中、諏訪子は不意に呟く。
「私なら、そんな儀式でもいいかなぁ〜、なんて」
「……諏訪子、ここは黙っていてくれ」
神奈子は自分より頭一つ以上小さい諏訪子の頭を上からぐぅ〜っと押し込んだ。
「あ〜う〜、私はお供え物がおにぎりでも断然OKなのにぃ〜」
諏訪子はじたばたしながら神奈子に抗議していた。
「何か和む光景ですねぇ〜♪」
「……」
自分がこの事態を招いておいて、その言い草はないでしょうと早苗は心の中でかぶりを振るうのだった。
そうこうしている内に、気付けばこの混沌な状況の大元の元凶たるマックスの準備は出来ていたのだった。
彼の鏡面が、眩く淡いライトブルーに輝き始めたのだった。
「やった、儀式成功だね♪」
「「こんなの認め(ん)(ないわ)!!」」
神の何たるかも分からない物体の理不尽さに、依姫と神奈子の叫びがシンクロした。
だが、誰が何と言おうと、ミラーオブライトへの儀式はこれで終わったのだ。
準備の整った、妖しく青光りする鏡面から何者かが出現したのだ。
そう、出現である。鏡とは光を反射するだけの代物で、中には何も存在しない。その事実をひっくり返す事が今まさに起こったのだ。
そして、その者は鏡をSF映画に出てくるような空間の裂け目の如く跨ぐと、その脚で地面を力強く踏みしめるのだった。
その姿は、人間大のサイズの魚に手足を取り付けて直立させたような……。
「半魚人……?」
早苗の呟く言葉、それが正解であった。
鏡から出てきたのは、マーマンやサハギンと言った伝説上の半人半魚の怪物を機械で模したかのような存在であった。
「それじゃあ、早苗さんに攻撃しちゃってね、【魚人「アイアンサハギン」】!」
勇美はたった今誕生した機械仕掛けの怪物の名を呼ぶと、早苗への攻撃指令を下した。
すると、その『アイアンサハギン』は水蒸気が噴き出すような声を出す。その牙を向いた様は、今にもそこから涎でも出てきそうな臨場感があった。
そして、機械の魚人は早苗目掛けて突っ込んでいくと、腕の爪を彼女へと振り翳した。
「くっ……」
早苗は表情を少し歪ませると、咄嗟に手に持った祓い棒に霊力を込めると、それを攻撃に合わせて翳したのだ。
ぶつかる金属の爪と霊力を纏った棒。すると甲高い妙な音を出して互いに衝撃を相殺した。
「アイアンサハギンの攻撃を受け止めましたか」
「それって凄い事なんですか?」
「うん、私にもよく分からない……」
「勇美さ〜ん……」
と、今の状況に似つかわしくない、気の抜けるやり取りを二人はするが、それは仕方のない事なのであった。
何せ、今まで『ミラーオブライト』のような奇怪な戦闘方法をする者が幻想郷広しと言えど存在しなかったので
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