第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第36話 外界っ子バトル:前編
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分からない事があったら遠慮なく私や幻想郷の親切な者に聞くのですよ」
「はい……って、依姫さんも幻想郷での経験は少ないのではないですか?」
「確かに……」
早苗に指摘されて依姫はその通りだと苦笑した。このように物覚えが良い所や、教える事に関して様になってしまうのは依姫の強みと言えるだろう。
気を取り直して、依姫は話を切り出す。
「それでは始めなさ……」
「始めなさい」と言おうとして、依姫はそこで踏み止まった。何があったというのだろう。
「どうしたんですか?」
疑問に思った勇美は首を傾げる。何故なら彼女はこの場の二人とは『違う』存在だからだ。
一方で理由を察した二人は同時に互いにコンタクトを取った。
「丁度良かったわ」
「来てくれたんですね」
そう言い合う二人の視線の先には、二人の人影があった。
──否、『二柱』である。
「早苗〜、来たよ〜」
「面白そうな事になっているな」
それぞれ、幼女とババ臭……いや、大人びた女性から声が掛かった。
「貴方方にはお会いしたいと思っていました。守矢諏訪子様……八坂神奈子様」
そう、早苗が仕える守矢神社の二柱の主であったのだ。
守矢諏訪子は金髪に紫と白の古風で落ち着いたスカートを含んだ服装に、何と言っても頭の蛙の玩具のそれのような目玉が付いた個性的すぎる帽子が特徴であった。
対して神奈子は鏡をアクセサリーにし、黒のスカート。後紫の髪と赤い服が原因で、どうしてもオバ……老けて見えてしまう外見である。
「お前か、最近噂になっている神霊使いは」
「はい、仰る通りです」
珍しく腰が低くなる依姫。
それもそうであろう。あくまで依姫は神の力を借りる身。対して神奈子は『神』そのものであるのだから。
「まあそう固くならなくていい。幻想郷では神も人間も何もかも平等なのだからな」
「そう言って頂けると嬉しいですね」
神奈子に促され、漸く依姫も表情が柔らかくなる。
「『この子、可愛い』って、抱きしめるのは失礼になるんですよね?」
勇美はデザートに存在するはずだったケーキを食べ損ねたかのようにもの惜しそうに諏訪子を見つめていた。
「ええ、失礼も失礼、大罰当たりよ!」
「ですよね〜」
すかさず突っ込みを入れる依姫に対して、勇美は意気消沈する。
「まあ、そう気を張らなくてもいいよ」
そんな二人に対して諏訪子はニカっと笑みを浮かべる。外見が小学生位の少女に見える彼女がやるのだから、その愛しさは一入であった。
「それじゃあ♪」
諏訪子の言葉を聞いて、猫科の肉食獣の如き眼光で食い入るように迫る勇美。
「でも、抱きしめるのはNGね」
「あぐぅ〜……」
諏訪子の非情な結論に、勇美は珍妙な呻き声を出してその場に倒れ伏してしまった。
「まあ、そう気を落とし
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