第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第35話 冥界組との後夜祭
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ってしまうのだ。
そこで勇美は「幽々子さんは?」とは言わなかった。亡霊となって存続しても、安易に『死んでもいい』等とは断じて思いはしなかったからだ。
その事を見透かしたかのように幽々子は付け加えた。
「それなら、私のように亡霊として存在している者はどうなるかと思うわよね?」
「……それも考えました」
「正直でいいわね」
幽々子は決して嫌味などではなく勇美をそう評した。その後で「だけどね」続ける。
「私のように死後亡霊として存続する事は稀なのよ」
「はい」
勇美は素直な気持ちで返事をする。ここで反論する等というのは無粋というものだろう。
勇美がそう振る舞う中、幽々子は話を続ける。
「それにね、私が存在出来ているのは紫がちょっと無理をしてくれているからなのよね」
そして幽々子は説明した。紫が冥界に干渉して幽々子を成仏させないようにしている事を。
そして幽々子は再び勇美と向き合った。
「そういう訳よ。これで私の話は終わり。この事は心の内に留めておいてね」
「ありがとうございました」
勇美は貴重な話をしてくれた幽々子にお礼を言った。
この話は幽々子だから特に重みがあったと言えよう。何せ一度命を落とした者から語られる事であったのだから。
これで充足して勇美は後夜祭に戻れば良かったのであるが、ここで彼女の『いつもの』悪癖が出てしまう。
「ところで、幽々子さんは死を操る能力なんですよね?」
「知っての通りよ」
「それってつまり、『死のメタファー』って事ですか?」
やってしまった。確かに幽々子はピンク(髪が)で死を操るが、それだと別の人になってしまうのだ。
見れば幽々子は先程までの優しいものではない、不気味な笑みを浮かべていた。
「そういう変な事を考える子はしまっちゃおうね〜」
……気付けば勇美は(休憩室の押し入れに)閉まわれかけていた。そして勇美は悲痛な嘆き声をあげる。
「もうダメだぁ〜」
何が駄目って、ボケが流れっぱなしになってしまった事である。突っ込み役不在時にボケはやるものではないと勇美は悔いるのだった。
◇ ◇ ◇
ちなみに『あの人』が死のメタファーだというのはガセである。作者本人から「別にそんな事はないよ」と指摘があったのだ。
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