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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第35話 冥界組との後夜祭
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いると、いよいよもって幽々子は話を切り出し始めたのだ。
「では、永遠亭と冥界のお近づきの後夜祭と行きましょうか」
 その幽々子の発言を皮切りにして、一斉に歓声が巻き起こったのだった。
「何か騒がしくなっちゃったなー」
 その光景を見ていた勇美はそう呟くも、それも悪くないと思った。
 折角の冥界組とのお近づきなのだ、今回くらい派手にやってもいいだろうと。
 そう勇美が思いを馳せていると、この騒動の首謀者(?)たる幽々子から声が掛かってきた。
「どう? 勇美ちゃんも私の持ってきたお酒、どうぞ飲んでね〜」
「丁重にお断りさせて頂きます」
 勇美は悪徳勧誘を断る際の適切な対応の如くきっぱりと幽々子の誘いを断った。
 ──確か自動車の類いが存在しない幻想郷では飲酒法も無かったんだっけと勇美は思い返した。
 しかし、未成年の飲酒は運転に支障をきたす以外にも肉体に悪影響があるようであるし、第一ここで飲んだら外の世界で生まれた者として何か一線を越えてしまうという意識が彼女にはあったのだ。
「あら〜、残念〜」
「いえ幽々子さん、これだけは譲れませんから」
「そういう事よ。勇美もそう言っているのだから」
 勇美と幽々子の間に依姫が入って仲裁に勤めてくれる。
「勇美は外の世界の者なのだから、それを破らせるような事はしてはいけないわ」
「依姫さん、ありがとうございます。幽々子さん、そういう訳ですから」
「分かったわ」
 二人に説得されて、幽々子は納得したようであった。
 そんなやり取りの後、準備は整えられ後夜祭は無事に開催して盛り上がりを見せるのだった。

◇ ◇ ◇

 後夜祭は滞りなく盛りを見せていた。
 勇美はと言うと、お酒は飲まなかったものの、冥界製の果実から搾られたジュースを飲み、舌鼓を打っていたのだ。
 コクがあり、それでいて癖の強くない良い飲み物であった。なので勇美は厚かましいと思いながらも、ついついお代わりを要求してしまっていた。
 しかし、飲み物を多く摂取しては当然訪れるものがある。それは……。
「あっ、トイレに行きたくなっちゃった」
 そう、尿意である。体内に取り込まれた水分の内、余計な分を小水として排出しようとする整理現象だ。
「済みません、トイレに行って来ます」
「あら惜しい、『トイレ貸して下さい』だったら『返してね』って言おうと思ったのに」
「ええ、そういう事言う人がいるから、この表現にしました」
 勇美は茶化しに掛かって来た輝夜と軽口を叩き合う。
 だが、軽くとは済まないのが他でもない、膀胱であった。
 特に女性の場合は『アレ』が存在しない為に男性よりも尿意に耐えるのが困難なのである。
 当然勇美も例外ではなかったのだ。
「ごめんなさい輝夜様、一刻も早くトイレに行かせて下さい……私
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