第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第35話 冥界組との後夜祭
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妖夢と依姫の文字通り『真剣勝負』は、妖夢の勝利となって幕を収めた。
「いい勝負だったわぁ〜」
その勝者であり、我が従者である妖夢の勝利に、幽々子は余韻に浸っていた。やはり、自分の元にいる者が活躍するのは喜ばしい事なのである。
「それじゃあ、妖夢の勝利のお祝いも含めまして、後夜祭と行きましょうか?」
喜びの余韻に続いて、幽々子はそんな事を言い始めた。
「ちょっと……幽々子様!?」
主の突拍子もなく聞こえる提案に、妖夢は戸惑いを隠せなかった。余りにもそれは永遠亭の者達に厚かましい事ではなかろうか?
だが、当の永遠亭の住人達の態度は朗らかであった。
「まあ、いいじゃないの? 私は大歓迎よ」
「輝夜がそう言うなら私は異存はありませんよ」
まず主たる輝夜の意見に、永琳も賛同する。
「私もいいと思うわ。何て言っても、私に勝ったのだからね」
と、依姫も同意の姿勢を示す。後は鈴仙やてゐや他の兎と言った面子も同じ意見のようだ。
そして、忘れてはならないのが。
「私もいいと思います。冥界の方々とはこの機会に触れ合っておきたいですから」
新しい永遠亭の家族とも言える、勇美からであった。
「決まりのようね〜」
「本当にいいんですか〜?」
のり気の幽々子に対して、妖夢は頭を抱えるような気持ちで言った。
「固い事は言いっこなしよ妖夢。折角この時の為にお酒も持って来たんだから♪」
そう言うと、幽々子はどこからともなく大きな酒瓶を取り出した。
「うわっ!?」
どこにそんな物を仕舞っていたんだと、妖夢は腰を抜かしそうになる。
「幽々子様、そのお酒は何ですか?」
「これはね、永遠亭の人達と一緒に飲んでもらいたくて持って来たのよ。──前の事のお詫びも兼ねてね」
「お詫び……って、あ!」
幽々子の言葉を聞いていた依姫は、その瞬間閃くような感覚に陥った。
──そう、かつての月と幻想郷の勝負の事である。最終的に紫の手解きに応える為に幽々子が選択したのは、月の酒を盗んで月の者達に一泡吹かせるという結論であった。
消耗品だから、飲んでしまえば取り返しようがないナイスな判断だと、あの時紫は大絶賛したものである。
その事を思い返した依姫は、幽々子の算段を読めずに首を傾げて言う。
「……どういう風の吹き回しかしら?」
その疑問に幽々子は答えていく。
「分からないかしら? あなた達のお酒を盗んだのは、あくまでもあなた達を一泡吹かせる為で──利益を得る為ではなかったからよ」
そして幽々子は、だから盗んだお酒の分のお返しはきっちりすると付け加えたのだった。
「これはまた一本取られましたね」
依姫はそんな幽々子の振る舞いにただただ感心するしかなかった。どこまでも懐の広い存在だなと。
そう依姫が幽々子に感心して
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