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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第34話 月の侍と冥界の侍
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、依姫目掛けて飛び掛かった。
「……」
 それを無言で見ていた依姫だが、無駄な動きをする事をなく刀を眼前に向けた。
 その最低限の動きにより、妖夢が放った冥の刃は依姫の刀に真っ二つにされてしまったのだった。
「あっ……」
 呆気に取られてしまう妖夢。こうも余りにも的確にスペルを攻略されては無理もないだろう。
「こうもあっさり対処されてしまうなんてね……」
 妖夢は肩に力の入らない心持ちで愚痴た。
「直線の攻撃ならば、私なら光でも斬れますよ」
 そう依姫は諭すように言う。彼女はかつて魔理沙と戦った時にも、彼女の十八番のマスタースパークを刀で両断するという芸当を見せた程であるのだ。
 妖夢も自分が振るう楼観剣には余り斬れぬものはないと自負するが、依姫の剣捌きはそれを凌駕する事を妖夢は今悟ったのだった。
 そんな様子の妖夢を見据えながら、依姫は言葉を掛けてきた。
「……貴方の腕はこの程度のものではない筈よ」
 その挑発でもあり、叱咤でもある言葉を掛けられ、妖夢はハッとなった。
 ──この戦いに迷いは不要だと。迷いを断つ白楼剣を自分に使えたら良いのだが、生憎これは自分には使えない代物なのだ。
 依姫はその事を知ってか知らずなのか、取り敢えず自分に喝を入れてくれるのだ、それを利用しない手はない。
(何か……)
 何か、師匠から鍛練を施されていた時と似たような心持ちになるなと妖夢は思った。
 妖忌は手取り足取り教えるのではなく、技を盗ませるような教え方をしていた。
 それに対して依姫は丁寧に教えていくタイプだ。スタイルから言えば真逆である。
 しかし、教える側の心に火を付けて奮闘させるやり方は似ているのだ。
 妖夢はその事を想い、胸が熱くなるかのようであった。
(有り難うごさいます、依姫さん……)
 その気持ちにさせてくれた依姫に心の中で礼を言うと、妖夢の心が昂るかのようになる。
 そして妖夢はその想いを胸に第二のスペルカードを発動する。
「【魂符「幽明の苦輪」】」
 幽々子と依姫の前の試合、妖夢自身と勇美が戦った時に彼女が使ったスペルである。
 だが、あの時とは些か運用方が違っていた。
 それに依姫が気付く。
「後ろ……?」
 そう呟く依姫の背後に妖夢の半霊で形成した分身が現出していたのだ。
 そう、妖夢本体と分身により、依姫を挟み打ちにしようという算段である。
 依姫が気付くと同時に分身が鞘を引き抜く。
「……っ!」
 咄嗟に依姫は刀を合わせて分身の剣戟を受け止める。鳴り響く金属音。
 そこに本体の妖夢が出向く。
 剣を振るう手が一人一本ずつにしか出来ないのなら、二人にしてしまえばいい。単純故に効果覿面の作戦であった。
「お覚悟……」
 妖夢は自分に優位が舞い込んだのを確信すると、らしくなく
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