第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第34話 月の侍と冥界の侍
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「幽々子様〜、心配しましたよぉ〜」
やや情けない声で妖夢は幽々子にすがるが、それも仕方ない事であろう。何せ自らの主が文字通り消えてしまったかに思われたのだから。
「妖夢、心配かけてごめんね」
と、幽々子は優しく妖夢に微笑んで頭を撫でてやる。
この場に幽々子がいる事──結論から言って彼女は無事だったのだ。
「まさか、この霊体の維持が続かなくなるなんて思わなかったわぁ〜」
それが幽々子消滅の真相であった。
まさか幽々子は依姫と激戦の末に霊力が枯渇しかけて、自分の形態を維持するのが困難になるとは思ってもみなかったのだ。
「幽々子様、あれだけの戦いをしてお体は大丈夫なのですか?」
「だから、私に体はないわよ〜」
「う〜……」
等と妖夢と仕様もないやり取りをする所から見ても、幽々子は大丈夫なようだ。暫く時間が経てば霊体を形成する霊力も元に戻るだろう。
その様子を見ていた依姫も心配はいらないだろうと胸を撫でおろしている所であった。
そして彼女は一頻り永遠亭の者達と触れ合いながら体を落ち着けた後、最後の本題に入る事にしたのだ。
その思いを胸に、依姫は妖夢の前へと歩を進めていた。
それに妖夢は気付いて声を掛ける。
「どうしたのですか、依姫さん?」
そこで妖夢に言われて、依姫は迷わず提案を口にする。
「冥界の庭師さん──妖夢と言いましたか、私と勝負をしなさい」
「えっ?」
突然自分にそのような提案を掛けられ、妖夢は跳ね上がるような心持ちとなってしまう。
「私が依姫さんとですか?」
「ええ、そうよ。貴方とは一度剣での勝負をしたいと思っていたのよ」
そう言われて妖夢は思う。自分が相手では依姫にとっては力不足なのではと。
妖夢はその旨を依姫に伝えると、依姫は微笑みながら妖夢に言う。
「貴方はもっと自分に自信を持ちなさい。月では最後まで私に悟られずに事を成したではありませんか」
そうなのである。妖夢は半分は浄土の存在であるとはいえ、綿月亭に忍び込んだ状態で依姫にその存在を認知されなかった程であるのだ。
「ですが、依姫さんは……」
そう言い掛けた妖夢の言わんとしている事を察知して依姫は続ける。
「ええ、確かに私の神降ろしは規格外の力である事は分かっています。なのでこれから始める勝負では、私は神降ろしを使いませんよ」
「はい……」
妖夢は依姫の話の内容を理解する。依姫は神降ろしを使わず剣術だけで戦い、自分はスペルカードを自由に使えるという事である。
妖夢にとっては、今後の為の経験に打ってつけである。だが、まだ彼女は腑に落ちない所があり、それを言葉にする。
「何故、私の為にそこまでしてくれるのですか?」
「それはね……」
そして依姫は理由の説明を始める。
それは、今の妖夢に師とな
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