第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第33話 桜対戦:後編
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と同じ蒼白な炎である。その光景は禍々しくも美しくあった。
「……随分と洒落た事が出来るのね」
「お褒めにあがり光栄ですわ〜」
軽口をかわす二人であったが、その心境は互いに穏やかなものではなかった。
依姫は幽々子が隠していた力に驚いていたし、幽々子はこの力を使うまでに追い込まれていて焦りを覚えていたのだ。
なので、幽々子は迷わずに第二波を繰り出すべく扇子を再度振り翳す。
それにより、依姫の周囲が再び業火に包まれる。今度は直撃したのだろうか。
だが、その火災現場から何かが勢いよく飛び出した。
そしてそれは勢いよく、それでいて着実に地面に降り立ったのだった。
藤色でポニーテールの髪に、最近地上で暮らすようになってからの巫女装束姿。──紛れもなく綿月依姫そのものである。
「……よくあれをかわせましたわね」
「この力のお陰よ」
そう言って依姫は自身が今しがた使った力の名称を口にする。
「【跳符「跳躍の舞踏」】……」
そして、依姫は天宇受売命と韋駄天の力を同時に使っての瞬時の跳躍である事を付け加えた。
「やりますね〜。でもまぐれは何度も続きませんよ」
「まぐれではありません。この二柱の力のお陰です」
そう言いながらも、このまま回避に徹するのは得策ではないと依姫は考えを巡らせていた。
幽々子の冥界の太陽とやらで繰り出される炎の火力は半端ではないのだ。何より天宇受売命と韋駄天の二柱の力にいつまでも頼っている訳にはいかないのだ。
そこで、依姫は次の手を打つ事にした。
「火雷神よ!」
依姫は先程まで降ろしていた神に再び呼び掛ける。だが、今度はその使い方は異なる。
そう、月で咲夜に行った戦法と同じである。
「八柱の兄弟を携え、この亡霊の放つ炎とどちらが勝るか思い知らせよ!」
「面白いわね。力比べという訳ね!」
幽々子は柄にもなく、力強くそう言い切った。
そして二人は、『らしくなく』熱くなっていたのだ。互いに桜に通ずるような性質故に負けられないものを感じての事であろう。
「では行くわよ! 冥界の太陽!」
幽々子は三度扇子を振り翳し蒼き業火を吐き出す。それに対して依姫は宣言する。
「【番龍「ヤマタノドラゴン」】!!」
すると、依姫の前方に炎で出来た八つ首の大蛇が出現したのだ。
向こうが冥界の炎を繰り出すなら、こちらは地獄の炎を用意するまで。
そして蒼炎に向かって炎の龍は牙を向き、その長い首で飲み込むように突っ込んでいったのだった。
炎と炎がぶつかり合い、激しい爆風と熱が辺りを舞った。当然この状況を見ていた者達全ては一体どうなったのかを把握出来なくなっていた。
だがそれも永遠に続く訳ではなかった。徐々にエネルギーの嵐は収まっていったのだった。
そこには水色の着物の亡霊と赤
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