第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第33話 桜対戦:後編
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して幽々子の張る弾幕は申し分なく辛口なのだ。だから依姫はいつまでも考えていないで答えを出そうと思えるのだ。
そして依姫の答えは決まったようであった。
「『火雷神』よ!」
答えとなった神の名を唱える依姫。そしてその存在は彼女の力として取り込まれていく。
「【暴風「獅子の心の如き氾濫」】!!」
続いてスペル名を宣言する。
すると辺りがゴロゴロと地の底から響くかのような音に包まれたのだ。
続いて空からポツポツと何かが降り出した。と言ってもユグドラシルドリップスのエネルギーの雫ではなかった。
本物の雫、即ち雨であった。そうと分かった時には一気に空から降り注いで、激しく地面を打っていたのだった。
「ひゃあ〜……」
堪らず幽々子は緩くも悲鳴をあげる。いくら自分は霊体とはいえ、こうも容赦なく豪雨を打ち付けられては堪えるというものだ。
そうこうしている内に豪雨は収まった。
それにより安堵する幽々子。だがその安心は見当外れになる事を彼女はまだ知らなかった。
雨雲が晴れた夜空は、気付けばユグドラシルドリップスのエネルギー体までもが吹き飛ばされていた。
「綺麗……」
そして見事なまでの星空が澄み渡っていたのだった。それに勇美は見入ってしまう。
「どうやら収まったみたいですねぇ〜」
幽々子はそう判断すると余裕を取り戻しながらそう言った。
「どうでしたか? 火雷神の豪雨の味は?」
「ええ、凄く辛口でしたわ〜」
依姫に問われて、幽々子は務めて余裕を見せる。しかしその実、内心は穏やかではなかったのだった。
なので、ここで腹を決める事とする。
「なので、私はもう一度奥の手を使わせてもらいますわ」
「!?」
その発言にさすがの依姫も驚いたようだ。先程の世界樹の名を冠した技だけが幽々子の奥の手ではなかったというのか。
だが、依姫の答えは決まっていた。
「構いませんよ、どうぞ見せて下さい」
自分に逃げ道を作らない。それが武士として、何より依姫自身の信条なのである。
「いい覚悟ですわね。では行きますよ」
そう言って幽々子は扇子を閉じたまま一振りするとスペル宣言をする。
「【妖炎「冥界の太陽」】♪」
その宣言と共に幽々子の持つ扇子の先に青白い炎が灯った。
そしてその炎が付いたまま彼女は扇子を指揮棒のように──はたまた世界中で有名になったファンタジー大作の杖のような要領で振り翳した。
「!?」
依姫は異変を察知すると、咄嗟に身を翻してその場から離れたのだ。
「あら〜、あなたも霊夢みたいに勘がいいのね〜」
そう幽々子が言った瞬間であった。先程まで依姫がいた辺りが一面、火事のような大火に包まれたのであった。
それも普通の赤と橙の中間ではなく、幽々子の杖代わりの扇子に灯るもの
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