第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第33話 桜対戦:後編
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った幽々子の霊気。その様子を確認した彼女は扇子を優雅に翳すと言ってのけた。
「発射ぁ〜」
だが、いささか気の抜けた号令であった。それを観戦していた者達は全員脱力してしまったのだった。
「幽々子様、何ですかその合図は……」
「はい、こんな事言うのは失礼ですけど、気が抜けちゃいますよね」
そう突っ込みを入れながら勇美は「幽々子さんって、酸の抜けたコーラみたいな人だな〜」と思っていた。
だが、号令は温くても、攻撃の方は違っていたようであった。
幽々子の合図を受けて、空に溜まっていた霊気から玉状の小さなエネルギーが打ち出されたのだ。
だが問題はその量であったのだ。一つや二つではなく連続して大量に放たれたのだから。
依姫はそれを問題なくかわす。
この調子で順調に回避していける。そう思われていた。しかし。
幽々子による空からの砲撃は尚も続いていった。その度に依姫は攻撃をかわし、地面に着弾した雫は小規模の爆発を起こして地面を抉る。
その流れのサイクルが何度も繰り返されたのだ。さすがの依姫とて疲弊していった。
「……これではキリがないわね」
やや愚痴るかのように溢す依姫。地道な行為をコツコツこなす事が得意な彼女とて、これでは埒が明かないというものである。
積み重ねは依姫の十八番である。だが、堅実さだけが勝負の全てではないのだ。
そう、先程の勇美の戦い方からも依姫は学んでいたのだ。
依姫ほど修練を積んだ者は、基本的に教える側になるであろう。
だが、経験を積んだとはいえ、『全てを知った』訳ではないのだ。
だから、教える者に対してから逆に学ぶ事も時にはあるのである。
その事を今の依姫は実践しようとしていた。
(さて、どうしたものか)
依姫は思った。やはり神降ろしの力を携えた自分には選択肢が多いのだ。
贅沢な悩みと言えるかも知れない。だが依姫はその事実を甘んじて受ける事としたのだ。余裕のある者は余裕のある者なりの奮闘というものがあると。
(あれでいきますか)
そして、依姫は贅沢な思考を終えて意を決したようだ。
その間にも幽々子の砲撃は続いていた。依姫はそれを掻い潜りながら考えていた訳であった。
「どうしたのかしら〜、反撃はしないんですか〜?」
幽々子は相も変わらずまったりとのたまう。別段イライラしている様子はない。それが今の幽々子の良い所でもあるのだ。
「少し待って下さいね。神の力を借りられる私には色々な手段があるから、どれにしようか迷っているのですよ」
「あらまあ〜。それはそれは」
やや挑発的な台詞に対しても幽々子は寛容な態度を見せる。それが彼女の強みなのだ。
幽々子とそんなやり取りをしながら、依姫は思った。たまにはこういう緩い掛け合いもいいものだと。
だが、それに対
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