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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第33話 桜対戦:後編
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 それは、冷徹に見えながらも笑みを浮かべる依姫と、普段どおりのほわほわした微笑を向ける幽々子の様子が物語っているかのようだ。
 二人の意は決したようだ。だが、ここで幽々子が提案を打ち出すべく口を開く。
「でも、このままの調子で続けたら、私の分が悪いですからね〜。ここは奥の手を使う事を許してはくれませんか〜?」
「奥の手ですか?」
 依姫はその幽々子の言葉に首を傾げた。彼女にはこの状況を打破する秘策が何かあるというのだろうか?
 何か得体の知れないものを感じる。普通の戦いでは易々とそれを許してはいけないだろう。
 例を挙げると、第二形態のセルとの戦いに退屈したばかりに、彼に敢えて完全体になるチャンスを与え、結果として形勢逆転されて痛い目を見たベジータだろうか。
 故に殺し合いのような正真正銘の戦いで、そのような余裕を見せる事はタブーであろう。
 だが、これは『弾幕ごっこ』なのである。美しさを競い合い、楽しみ楽しませてなんぼの勝負なのである。
 元より月でも互いに楽しみ尽くす為に依姫は魔理沙やレミリアに実力を最大限に発揮させる機会を与えているのだ。
 だから、依姫の答えはすぐに決まったようであった。
「分かりました。貴方の『奥の手』、しかと見届けさせて頂きますよ」
 笑みを浮かべながら依姫はそう答えを示したのだった。
「有難い答えですわ。では行きますよ」
 そして幽々子は懐から新しいスペルカードを取り出して宣言する。
「【越符「ユグドラシルドリップス」】」
「『ユグドラシル』ですか……」
 その用語は依姫にも聞き覚えがあった。地上の全ての地域の神の力を借りる為に世界各地の神話の内容を調べ尽くしたのだから。
 ──確かそれは北欧神話における『世界樹』。正に樹木で世界一の規模の体躯を誇る大樹の事だ。
 幽々子は妖怪桜『西行妖(さいぎょうあやかし)』の下に自分の死体を埋められている存在である。故に彼女の亡霊としての力の源は西行妖にあるのだ。
 その事を幽々子は知らない筈である。しかし、西行妖の妖力か、何かの因果が幽々子にその名付けを行わせているのかも知れない。
 閑話休題。幽々子のその世界樹の名を冠したスペルの発動により、空に霊気が集まっていったのだ。
 そして、その規模も膨大であった。何せ辺りの空一面を覆い尽くしてしまったのだから。
「……」
 依姫は無言でそれを見ていた。表情には出していないが、正直な所驚いているようだ。
「一体何が起こるんですか……。──妖夢さんは知っていますか?」
 その様子を見ていた勇美はそわそわしながら妖夢に聞いた。
「いいえ、私も初めて見るスペルです。何が起こるか分かりませんよ」
 落ち着かない心境なのは、幽々子の従者たる妖夢も同じ事のようであった。
 今やすっぽりと空を覆
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