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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第32話 桜対戦:前編
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素敵です……」
 それを見ていた妖夢は思わず呟いた。普段余り……と言うか滅多に見ない主の姿だったからであろう。
 普段からこれ位凛々しかったら良いのに。いつもだらしなくて人使いが荒くて私は困っていて……そこまで妖夢は思い、考える事を止めた。
「感心、貴方は荒事もこなせるのね」
「本当は面倒だから余りしたくはないのですけれどね、今はそうも言っていられない訳だし……」
 依姫は幽々子と余裕を見せながら会話するが、先程の槍捌きと動きを見て内心意表を突かれていた。
 これが『肉体が存在しない』という非現実的な存在が成せる業かと。依姫も寿命から逃れた地で育った訳であるが、それでも自分を構成するのは『肉体』という物体なのである。
 故にまともにやり合っては分が悪いというものであろう。
 そこで依姫は『ずる』をする事とした。
「天宇受売命よ、我と共ににこの亡霊の舞者と存分に踊ろうぞ」
 そう言って依姫は天宇受売命の力をその身に降ろし、宣言する。
踊符「最古の巫女の舞踏」
 すると、依姫の身体が眩く輝き始めた。これで彼女は舞いの女神の力を授かり、洗練された身のこなしをする事が出来るようになったのだ。
「そのスペルは攻撃をかわしやすくする為ではないのかしら〜♪」
 対して幽々子は暢気な口調で指摘した。そして、その指摘は実に的確なものであったのだ。
 何故なら、このスペルは幽々子の指摘通り、回避という防御一辺倒のものなのだ。
 だから、幾らかわす事に身を置いても、亡霊らしく振舞う幽々子には肝心の攻撃を当てる事は出来ないのである。
 だが、依姫はそれで終わらせるつもりはなかった。
「誰が天宇受売命の力『だけ』を借りると言いましたか?」
 口角を吊り上げながら依姫はその言葉を紡いだ。
「?」
 そう言われて、幽々子は思わず首を傾げてしまう。これで終わりではなかったのか。
「まあ見ていなさい。続いて祇園様よ、我にその膂力を分け与え賜え!」
 そして依姫は第二の神の力をその身に降ろしたのだった。
 先程天宇受売命を降ろした時から身体から放っている白い光に、今度は赤い光が混ざり、紅白の大理石模様のように変貌した。
「まあ綺麗。でも、綺麗なだけじゃあいけないわよ〜」
「私がそのような失礼な事はしませんよ」
 依姫が得意気に言ってのけた。それは幽々子に対してのみならず、自らが今降ろしている二柱の神々に対してにも向けたものであった。
 そう、これから依姫は神に対して無礼のないように抜かりなく戦わなければいけないのだ。
 二柱の神を降ろした依姫は宣言する。
「【神刀「剣の舞い」】……」
 静かな依姫の宣言の後、辺りは水を打ったように静まりかえった。これは平穏が訪れたからではない。正に『嵐の前の静けさ』なのである。
 そして、嵐は巻き
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