第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第32話 桜対戦:前編
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」
「……何よ、この不毛なやり取り」
おバカさん二人の仕様もない波長の合いっぷりに頭を抱える依姫。
──本当にこの場にお姉様がいなくて良かった。あの人がいたら話は更にややこしくなっていただろうから。
気を取り直して依姫は再び相手を見やる。
気付けば霊気の奔流はみるみるうちに増幅していたのだ。
そしてひとしきり霊気が集まると幽々子は言ってのけた。
「発射〜」
──気の抜けた号令を掛ける『艦長』もいたものだ、そう依姫は心の中で突っ込みを入れた。
だが油断はしなかった。何故なら禍々しくも美しい霊気の流動は幽々子から打ち出されて、今にも依姫に差し迫らんとしていたからだ。
しかし、依姫は慌ててはいなかった。このような危機的状況は今まで何度も味わったからだ。
そして、依姫は迷う事なく刀を自らの前方に突き出して構えた。
まるで、それに吸い込まれるかのように霊気の砲撃は突っ込んで行ったのだった。
「あらあ〜やりますわねぇ〜」
そう幽々子は変わらないような態度で言うが、内心は些か焦りを覚えていた。彼女が『生物』であったら、きっと冷や汗をかいていた事であろう。
そして、依姫はそんな幽々子の内なる心に追い打ちを掛けるかのように、この状況でスペル宣言をした。
「【霊炎「夢幻の焔の魂」】……」
すると幽々子の放った霊気が依姫の繰り出した愛宕様の火と混じり合い、彼女の持つ刀に纏わり付いているではないか。
その炎の色は本来燃やしてはいけない化学物質に火を付けたかのように禍々しいものであった。
そして依姫はその不気味な炎を刀身に纏ったまま、一気に幽々子目掛けて振り下ろしたのだった。
すると幽々子は炎に包まれて妖しいくもあるが美しく燃え上がった。
直撃である。これにはさすがの幽々子とて無事では済まないだろう。
依姫がそう思っていると、炎は一際盛大に燃え盛ると嘘のように鎮火したのだった。
そして、その場には……何も残っていなかったのだ。
そう、何も。
「……」
依姫は無言となる。これは弾幕ごっこであり、断じて本物の殺し合いなどではない。
依姫自身、そのルールに抜かりなく従っているつもりである。
その一方で、弾幕ごっこで死者が出る事はない訳ではない。不慮の事故として起こり得るのだ。
だが、依姫は冷静であった。自分が行う弾幕ごっこで亡くなる者を出さない自信があったし、第一……。
「……貴方、スペル発動の為に出してる霊力を隠せていないわよ」
「あら〜、バレてしまいましたか〜」
依姫の指摘に、何処からともなく返す幽々子。
「これじゃあサプライズにはなりませんね〜。仕方ありませんね。【再迷「幻想郷の黄泉還り」】」
宣言後、プチプチと妙な音を立てて地面から何かが形成されていった。
そ
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