第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第32話 桜対戦:前編
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空振りとなった刀を蝶型のエネルギーの一つに向けて振りかざした。
するとパチンと妙な音を立てて蝶は粉微塵になって雲散した。どうやら耐久力自体は大したことはないらしい。
だが、如何せん数が多い。しかも当の幽々子は軽々と攻撃をかわして姿を眩ましてしまっている。
「──ここは、まともに相手してはいけないわね」
それが依姫が出した結論であり、彼女なりの幽々子への敬意の示し方であった。
そして彼女は神へと呼び掛ける。本家本元の神降ろしの瞬間だ。
「祇園様に、風神よ。我が刃となれ!」
そう言って依姫は刀を空に向けて掲げる。するとその刀身に、みるみる内に風の渦が巻き付いていったのだ。
「【剣符「乱舞の風刃」】!」
宣言と共に依姫は刀を振り下ろすと、そこから無数の風の刃が放出された。
刃の一つが蝶を捉えると、容赦なくそれを真っ二つに切り裂いた。
それに続いて同じように風の刃が刀から繰り出されていき、他の蝶達もまるで紙切れのように切り裂いていったのだった。
「……やっぱり見事ですわぁ〜」
そして相も変わらずにのほほんとした口調で幽々子は依姫の側に再び姿を現した。
その様相は正に『亡霊』に相応しい、掴み所がなく異質なものであった。
「今の貴方から言われても嫌味にしか感じられませんよ」
と、憎まれ口を叩く依姫であったが、その口調とは裏腹にどこか楽しそうであった。
──これは久しぶりに面白くなりそうだと。
依姫は自分の実力を慢心ではなくかなり高い事を知っている。
故に万が一にも自分はこの勝負で負ける事はないだろうと。
だが、今回は弾幕ごっこという事もあり、『簡単に』とはいかないだろう。
だから、依姫はとことん『楽しんで』やろうと心に決めるのであった。
そう、楽しんでやるのであって、楽しませてもらうのではないのだ。
相手は仮にも一度自分を出し抜いた存在であるのだ。それでなくても相手に『私を楽しませなさい』等という、相手の侮辱に繋がる事は依姫の流儀に反するのであった。
そして、依姫は今一度幽々子に向き直った。
「今ので怖じけづいたりしませんでしたか〜」
「冗談言ってはいけませんよ」
両者とも口で負けてはいない。だが、最初に仕掛けたのは依姫である。故に次に動く者は決まっていた。
「次は私の番ですわぁ〜」
そう言って幽々子は自前の扇を依姫の前に翳す。
「【死符「ギャストリドリーム」】……」
あくまでのったりとした口調で、だがそれでいてどこか力強くスペル名を幽々子は宣言した。
すると、幽々子の頭巾の中央に描かれた模様に次々と霊気が集まっていったのだ。
それを見た勇美はすかさず指摘した。
「即ち、ドリームキャストって事ですね、幽々子さん♪」
「ご名答、基本ですわよね勇美ちゃ〜ん♪
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