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曇天に哭く修羅
第三部
はいちょっとごめんよ
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「今から佐々木凜音に会わせてやル。そしてオマエの前で首を引き千切って殺ス。それくらいやれば頑張れるだろウ?」


何を言っているのだろうか。

ふざけるのも良い加減にしろと言いたかった紫闇だが言葉が出てこない。

この少女は本気だ。

本気でそう言っている。

凜音を殺す。

紫闇の力を出させる為に。


「力をくれ、バケモノッ!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


紫闇の内なる門が開く。

力を得た紫闇の出血が右腕に集まり黒い魔晄外装を赤く染めていった。


(勝てる!)


紫闇は確信する。

これを当てれば終わりだと。


「白鋼流奥義・流れ崩し」


しかし拳は外れた。

いや、自分から外したと言える。

そんな気は無かったのに。


「オマエの攻撃が当たることは無イ」


紫闇が伸ばした右腕に白い少女の腕が絡まると関節からへし折られた。

そのまま倒され頭を踏みつけられてしまった紫闇にとってこの技は衝撃的。


「黒鋼の、[喰牙(クウガ)]……?」

「白鋼でも同じ呼び方ネ」


少女は笑って紫闇を踏みにじる。

足をグリグリして力を入れてきた。


「うん、今のは面白かったヨ。だからオマエの根性に免じて凜音は殺さないから安心しロ。まあオマエは殺すんだけどナ」


紫闇は理解する。

少女は自分達と同じ『鬼』だ。

そして闘技者であり戦いを楽しむ。

焔に教わったこと。

真剣勝負は生殺与奪の権利を得たり相手を失神させたりするのではなく、どちらかが死んだ時に決着するもの。


『覚えておくんだよ。真剣勝負で生殺与奪の権利を握った場合、また戦りたい・もっと戦いたい相手なら生かしておくと良い。でもそうでない相手だったなら───』


一切の容赦なく、一時の躊躇い無く、まるで呼吸するかの如く殺せ。

それが自分達のような人でなしの流儀。

つまり白い少女にとって今の紫闇はどうでも良い、もう戦いたいと思わない、ここで死んだって構わない程度の相手だったということ。

踏みつけられている紫闇の頭からみしみしと頭蓋骨の音が鳴っているのが解る。


「代われ紫闇」


紫闇の口から不意に言葉が出る。

しかし今のものは彼の意志ではない。

もう1人の紫闇とも違う。


「何ネ? 急に体が硬く───」


紫闇の左手が頭を踏んでいる少女の足を掴むとそのまま引き剥がした。

異様な力の上がり方だ。


「外装を弄る時に保険をかけておいて良かったよ。ここからは僕が戦う」


紫闇が頼りにしている人。

焔と共に自分を助けてくれた人。
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