最悪の事態
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まったのは彼女なのだから、それも無理はない。
しかし、ウォーロッドはそれを気にする様子は一切なかった。
「妹に会えてよかったのぉ、リュシー」
「・・・ありがとうございます」
それどころか、妹との再会を喜んでくれた彼に思わず涙が出そうになった。しかし、まだ戦いは終わっていない。それがわかっている彼女はそれを拭い、立ち上がる。
「ったく・・・雑魚のくせに時間をかけさせないでくれよ」
一度間合いを取ったティオスはそういうが、彼には本当はそんな余裕は全くなかった。理由は右肩に受けたダメージにある。
(カミューニの攻撃を受けた右肩がイマイチ動きが悪い。そっちを気にしすぎて反応が悪くなっちまってる)
本来なら問題なく対処できるはずの攻撃に全く反応が追い付かない。自分の能力の高さがわかっているだけに、それがますます歯痒く感じる。
「もう諦めろ、ティオス。この人数相手に1人で太刀打ちできるわけないだろ」
そう言ったのは彼と同じスプリガンの盾となっていたアジィール。人一倍戦いを好む彼からのそんな言葉にティオスは拍子抜けしてしまった。
「らしくないな、アジィール。善の心にでも討たれたのか?それとも・・・」
ティオスは目の前にいるアジィールを一瞥した後、周りにいる多くの魔導士たちに視線を移していく。
「また俺に殺されるのが怖くなったのかい?」
「!!」
最後の情けのつもりだった。アジィールは元々、ゼレフがアルバレス帝国を作るまで、西の大陸にある小さな国の王族の一族。それゆえに、彼に慈悲をかけてやったつもりだったが、それすらも目の前の敵には届かない。
「黙れ!!」
ティオスの言葉に激怒したアジィールは砂の魔法で彼に攻撃を加えていく。
「お前に慈悲の心を与えようとしたのが間違いだった」
「砂漠王と恐れられるお前が慈悲を与えるとは・・・死んで丸くなっちまったのかね」
ティオスは自分の状態が万全ではないことはわかっていた。それゆえに敵を挑発し、形勢逆転の糸口を掴むまでの時間稼ぎをしたかった。なので血気盛んなアジィールが前に出てきてくれたのは好都合といえた。しかし・・・
「氷魔の激昂!!」
「水流昇霞!!」
彼が我を見失う前に、背後から2人の攻撃が繰り出される。
「チッ」
思い通りの展開に持ち込めなかったティオスは舌打ちをしながらグレイとジュビアの魔法を難なく回避する。そちらに意識が向くと、その後ろからさらに2人の影が迫ってきていることに気が付いた。
「でも残念だ。影で俺に・・・」
運良く影で敵の動きに気付けたティオスはすぐさま振り変える。しかし、目に写った人物たちを見て動きが止まってしまった。
「天空甲
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