第41節「英雄」
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みは……あの時の……ッ!?
「うぐッ! がッ、ああ、ああああああああああああああああああああッ!?」
痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い痛い痛い熱い熱い熱い熱い痛いいいいいいいいいいッ!!
電流を流した万力で潰されているような痛みが焼けるような感覚と一緒に、踏まれた部分から広がるように全身を駆け巡ってきやがる!?
なんでだよ……なんで今になってこの痛みが……ッ!?
「があああああああああッ! 退けッ! 退けえええええええッ! ああ、あああッ、ああああああああああああああああああッ!?」
「幻肢痛……周りに強がって振る舞う君の心には、あの事故のトラウマが今でも染みついている。だから君はその右腕を、他の誰にも触れさせようとしないッ! 何故ならそれは、君のトラウマを再発させるトリガーに成り得るからだッ!」
「──ッ!?」
──そうだ……。俺の右腕はあの日、セレナの笑顔と共に失われた。
マリアを泣かせたのはネフィリムや、身勝手な大人達だけじゃない。他でもない俺自身だ。
だから、この右腕は呪われている。
大事な人を守ろうとして、取りこぼしてしまった。
この腕で、この手で誰かに触れる事なんて……出来るわけがない……。
「ほら、ほら、ほらぁッ! 叫べ、喘げ、苦しめッ! 自分の罪を、その痛みを以て償うがいいッ!」
言葉の意図は違うんだろうが……チクショー、そういう意味に聞こえてきやがる……。
「跪けッ! 地を舐めろ額を擦り付けて許しを請えぇッ! 償う時が来たのだッ! ガキの分際で、僕の事を最も間近で何度も何度もコケにしてくれた事を後悔させてやるぅぅぅッ!!」
「ぐううう、ああああああッ! ああああああああああッ!!」
何度も踏みつけられる度に痛みが広がり、この石にしか見えない特殊素材の床がそれより硬いせいか、特殊合金製であるはずの鋼の右腕は凹み始める。
ああ、分かってた……俺はマリィのヒーローなんかには、なれやしないんだ……。
今の俺にできるのは、この痛みに悶え苦しむ事だけ。
マリィを守る存在になりたかったけど…………俺は………………無力だ……………………。
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