第41節「英雄」
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それを悲鳴を上げつつ避けるが……その一本目はあくまで囮ッ!
本命はもう一本、狙うはお前の──
「ッ!? やっぱりそういう事かッ!」
分銅付きのもう一本の鎖がウェルの左腕に巻き付き、拘束する。
更にその上からもう一方の鎖も巻き付け、ネフィリムの腕を幾重にも巻き付けた鎖で雁字搦めにした。
「確かにネフィリムの特性は厄介だ。だが、ネフィリムの細胞が適合しているのは、その左腕だけッ! だったらそいつさえ封じてしまえばッ!」
「ひッ、ひゃぎゃああああああッ!?」
鎖を思いっきり引っ張り、ウェルをこちらへと引き寄せる。
両手は鎖を引いている。それでも頭突きくらいは問題なく食らわせられんだ、よッ!
「がッ!?」
「オラッ! もう一発ッ!」
鼻っ面に頭突きをぶち込み、もう一発食らわしてやろうと左手を拳に握る。
もう一度ウェルの野郎を引き寄せたその時……全身が軋むように痛んだ。
「ぐッ!? こ、こいつは……ッ!?」
「Anti_LiNKER……残ってた最後の一本ですよッ!」
先程、引き寄せられた際に足元へと放られていたカプセルに気付いた直後、額に重たい痛みが走る。
ウェルの野郎がさっきの仕返しとばかりに、頭突きを見舞ってきたのだ。
「い──ッ!?」
「そら、お返しですよッ!」
そして、踏ん張っていた俺の脚がよろけた隙を突き、ウェルは鎖の巻き付いた左腕を力任せに振り回し、俺の身体を思いっきり床へと叩き付けた。
ヘッドギアのアンテナ部が、叩きつけられた衝撃で折れて転がる。
「ぐうッ!? かは……ッ!」
「アームドギア使用状態での適合係数低下ッ! いくら君とエンキドゥが好相性といえど、日に二回もバックファイアを受ければただじゃあ済まないッ!」
ああ、クソッ……悔しいがウェルの言う通りだ……。
エンキドゥとの相性に賭けてあの場を切り抜けたとはいえ、俺の身体には少なからずバックファイアによるダメージがあった。
何とか誤魔化してきたつもりだったが……今のは効いたな……。
ウェルの左腕に巻き付けていた鎖が消える。
適合係数低下の影響だろう。今の俺は、どうやら滅茶苦茶ヤバいみたいだ……。
「へっ……俺は不死身だ……。お前に何度地獄に落とされようが、日帰りで戻って来てやるよ……」
「……まあ、君ならそう言うと思ってましたよ」
ウェルは左腕を撫でながら近づいてくる。
俺の身体は、痛みでまだ起き上がれねぇ……。
「その軽口を叩けないように……こうしてあげますよッ!」
俺の目の前まで寄って来たウェルは、足を振り上げると……動けない俺の右腕を思いっきり踏みつけた。
踏まれた瞬間、俺の右腕にこれまで味わったこともないような……いや、違う……この痛
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