第二章
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「性質の悪い悪戯をしているでごわすな」
「全くでごわすな」
西郷は怒った顔で答えた。
「許せんでごわす」
「それでも吉どんは殺すことはないと思ってるでごわすな」
「それはでごわす」
西郷は握り飯を食いつつ大久保に答えた。
「別にでござる」
「そうでごわすな」
「クロドンは人を殺してないでござる」
「そして悪戯以上はしていないでごわす」
「ならでごわす」
それならというのだ。
「別にでござる」
「命ば奪うまではでごわすな」
「至らないでごわす」
こう大久保に答えた。
「おいはそう思ってるでごわす」
「吉どんの言う通りでごわす、おいもでござる」
大久保も握り飯を食いつつ言う、見れば西郷よりも小柄であるがそれでもその背丈はかなりのものである。
「そこまではでごわす」
「することはないでごわすな」
「悪事にはその悪事に相応しい裁きが必要でごわす」
「命ば奪うなら」
「それなりの悪事でないと駄目でごわす」
「だからでごわす」
「そうでごわす、なくす命は最低限でいいでごわす」
まさにというのだ。
「だからでごわす」
「ではクロドンは」
「殺さず収めるでごわす」
ことをとだ、こう言ってだった。
大久保は弁当の後で西郷と共にクロドンがいる池に赴いた、すると名前の通りに全身真っ黒の河童が出て来た。
そのクロドンが二人に聞いてきた。
「おまんさあ達は何じゃ」
「西郷吉之助でごわす」
「大久保一蔵でありもっそ」
二人はクロドンに胸を張って答えた。
「おまんさあに言いに来たっそ」
「悪戯ば止めるでごわす」
「河童の仕事は悪戯でごわすぞ」
クロドンは自分に言った二人にこう返した。
「それを止めろというのは」
「それなら遊んだらいいでごわす」
悪戯よりもとだ、西郷はクロドンに反論した。
「そうでごわす」
「遊びでごわすか」
「悪戯しなくてもでごわす」
それでもというのだ。
「それでよかでごわす」
「それは」
「だからそうしてもらうでごわす」
「そうしたいならでごわす」
クロドンは強い声でまた言い返した。
「ここは薩摩でごわす」
「それならでごわすな」
「勝負で決めるでごわす」
これがクロドンの反論だった。
「そうするでごわす」
「勝負でごわすか」
「そうするでごわすよ」
「ならでごわす」
ここでだ、出て来たのは。
大久保だった、大久保は毅然としてクロドンに言った。
「おいが相手しもっそ」
「おまんさあがでごわすか」
「そうしもっそ」
こう言うのだった。
「そうするでごわす」
「それならおいを切るでごわすか」
「そうするでごわす」
「なら切ってみるでごわす」
クロドンは大久保に勝ち誇った声で告げた、まだ
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