第二章
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「気になり申す、それに」
「それに?」
「それにといいますると」
「かなりのガニ股、曲がった背、尖った口に丸くおかっぱの髪」
今度は娘の伝え聞く外見のことを話した。
「それに緑となるとこれは」
「まさか」
「まさかと思うが」
「これは」
「左様ですな、そう思いまする」
こう同輩達に述べた。
「それがしは。ですから」
「それで、ですか」
「渡辺殿としては」
「人ではないとですか」
「見ました、ですからそれがし今は江戸におりますが」
それでもというのだ。
「藩に赴いた際に少しです」
「その娘が来れば」
「その時にですか」
「渡辺殿が」
「少しやってみようと思いまする」
こう言ってであった。
「それがしが思ったことを」
「そうですか、では」
「この件お願い致します」
「害はない様ですが」
「これはまたおかしな話」
「ですから」
「それでは」
渡辺は同輩達に応えた、そしてだった。
渡辺は実際に藩の江戸屋敷から藩に戻った時に川辺で煙草を吸ってみた、すると供の若い藩士がこう言った。
「来るでしょうか、その娘は」
「うむ、こうしてな」
渡辺はその煙草を吸いつつ応えた。
「吸っておるとな」
「出るとのことなので」
「左様、だからな」
「来るとのことで」
「それでな」
そのうえでというのだ。
「今は吸っておく、それでお主はどうか」
「それがしは煙草は」
藩士は渡辺に申し訳なさそうに答えた。
「吸わないので」
「そうか、ならよい」
渡辺は藩士に微笑んで応えた。
「わしが吸う、そなたは飴を舐めるか」
「飴ですか」
「それをな」
こう言ってだ、渡辺は実際に飴玉を出した。そのうえで藩士に話した。
「どうじゃ」
「頂いていいのですか」
「よい、わしだけ煙草を吸ってな」
それでというのだ。
「お主が何もないのはよくない」
「だからですか」
「わしは煙草を吸って」
「それがしは飴を舐めてですか」
「楽しもうぞ」
こう彼に言うのだった。
「今は」
「それでは」
彼も頷いた、そしてだった。
渡辺から飴を受取ってそれを舐めつつ娘が来るのを待った、すると実際にだった。
話の通りの姿の少女が来た、それで渡辺に言ってきた。
「煙草を吸っていいかい?」
「煙草をか」
「少し吸わせてくれるかい?」
「それはいいが」
それでもとだ、渡辺は娘に微笑んで応えた。
「もっとよいものがあるぞ」
「もっと?」
「うむ、これだ」
こう言ってだ、彼は。
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