第二章
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「だから鹿児島で何が起ころうともな」
「立たれませぬか」
「そうだ、しかし」
「しかし?」
「何かが起こってだ」
そしてとだ、児玉は心配する顔になって従兵に話した。
「担がれようとする」
「そうなればですか」
「なまじ器が大きく肝が据わっておられる方だけにな」
それだけにというのだ。
「その時はな」
「担がれますか」
「お命を捨ててな」
「そうされますか」
「そうなれば天下の損失だ」
日本にとってというのだ。
「そうならないで欲しいな」
「全くですね」
「今は隠棲されておられるが」
「また、ですか」
「出られるやも知れぬ」
「あの人は何度か、でしたね」
「ああして雌伏されている」
薩摩藩の時のことを話すのだった。
「だからな」
「今もですか」
「そうかも知れない、若しそのままでもな」
「静かにですね」
「余生を過ごしてもらいたい」
児玉はいた藩は違うがそれでも西郷は認めていた、それで彼についてはどうか何かがあってもそれに担がれないでいて欲しいと思うのだった。
そんな中で児玉はたまたま岩川の方に視察に行った時にその帰りに八幡神社に寄った、そうしてそこでだった。
神主から弥五郎さんの話を聞いた、それはやはりこの辺りの川や沼を作った大男であった。だがその実態が何かがわからなかった。
しかしその大きな姿を聞いてふと直観的に感じたものがあった、それで彼は自分に話してくれた神社の宮司ににこんなことを言った。
「何かな」
「何かといいますと」
「力士の様でありますな」
こう宮司に話した。
「弥五郎さんは」
「そう言われますか」
「はい、ダイダラボッチにも思え」
そしてというのだ。
「薩摩隼人にも思え」
「そしてですか」
「力士の様に。力士といえば」
児玉は宮司とお互い正座して話している、その中での言葉だ。
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