第二章
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「見事な学識を持った方であられた」
「日々修行に励まれていた」
「仏法もよく学ばれていた」
「ならばな」
「それならばな」
「きっと次の世はよき世であられるだろう」
「全くですな」
こうした話をしていた、皆青空の来世はこれまでよりいいものだと思っていた。だが陸山だけはだった。
安心していなかった、そしてだった。
彼の来世がどうなっていたか気になっていた、そのことを気にかけながら一年が過ぎた時にだった。
夢の中に。
柄の取れた槌そのままの形をしていてだ、頭は口ばかりで他には何もない。そんな姿をしていてだった。
その口には無数の歯がある、陸山は夢に出て来た彼の姿を見てそのうえで問うた。
「青空殿か」
「左様」
その口で答えてきた。
「今はこの姿になっておる」
「野槌か」
青空の返事を受けてからまた言った。
「その姿は」
「知っているか」
「山に棲み獣を襲って喰っておるな」
「うむ」
まさにというのだ。
「そうしたあやかしであるな」
「そうじゃ」
「まさかな」
「人としての生の後はな」
「その姿になったか」
「拙僧が思うにな」
青空はその野槌の姿から話した。
「まともな仏法の学び方をしてこなかった」
「生きている時の話の通りか」
「うむ」
まさにというのだ。
「前世で名誉と利得ばかり求めてな」
「そのうえで仏法を学んでか」
「それでじゃ」
「死ぬとか」
「こうなったのじゃ」
「そうなのか」
「今では口ばかりがあり」
そしてというのだ。
「他の生きものを襲って喰うばかりの生じゃ」
「完全に獣のか」
「その生になっておる」
こう語るのだった。
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