第四章
[8]前話
「無論です」
「他のあやかしもか」
「同じであります」
「左様か」
「夜雀は心静かにするだけで消え」
そしてというのだ。
「他のあやかしもです」
「心静かにして対すればですか」
「よいのです、そして他のことも」
まさにというのだ。
「全てです」
「政もじゃな」
「無論です、またそのことをよく知れば」
「和上は夜雀のことを知っておったしな」
「どの様なことでも何なくです」
「前以て知って心が静かならか」
「終わらせられます」
無事にというのだ。
「そうなりますので」
「政でもじゃな」
「まずは学ばれ」
「心静かにじゃな」
「ことにあたればいいな」
「左様です」
「わかった、ではわしはこれまで以上に学び」
そしてとだ、秀忠は天海に応えた。
「そして心落ち着かせ静かにしてな」
「ことにあたられますな」
「そうしよう、それが天下万民の為になるならな」
「その様にされて下さい」
「ではな」
秀忠は天海に実直な声で応えた、そしてだった。
彼はこれまで以上に学問に励み心静かにして政にあたった、そのうえで幕府の政の基礎を固めていった。
この話はどの書にもない、だが天海が妖怪を退けそれを政のこととして秀忠に話したことは秘かに伝わっていた。たまたま聞いた話であるが面白いと思いここに書き残した。一人でも多くの人が読んで頂ければこれ以上の喜びはない。
夜雀 完
2020・1・14
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