第5楽章〜鋼の腕の伴奏者〜
第40節「はじまりの歌」
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ッ!? 幽霊なんかじゃないですよねッ!?」
「正真正銘、本物だよ。けど話は後だ。今は……」
「おい、来やがったぞッ!」
純と2人、スコープを覗いてネフィリムの様子を伺っていたクリスが、標的の接近を告げる。
「あの時の──自立型完全聖遺物なのか!?」
「マリアさんが、多分そうだってッ!」
「──にしては張り切りすぎだッ!」
成体となったネフィリムは、巨人の名に相応しい天を突くほどの巨躯を日本の足で支え、足音を響かせてこちらへ向かってくる。
「行くぞッ! この場に槍と弓、そして剣を携えているのは、私達だけだッ!」
「はいッ!」
「ああッ!」
「チッ、今更何が来たってッ!」
「俺達が負けるはずがねぇッ!」
翼の号令で、各々の得物を構える装者達。
それを見て奏は、感慨深そうに呟いた。
「ああ……こりゃ翼もすっかり先輩だな。あたしも負けてられないねッ!」
奏もアームドギアを構え、ここに二課の装者6人が勢揃いした。
「いくぞッ!」
6人は大地を蹴り、ネフィリムに向かって突撃する。
ネフィリムは方向と共に、両肩の棘をミサイルとして放つ。
避ける6人。直後、先程まで立っていた地点にミサイルの雨が降り注ぎ、爆発した。
着地する純とクリス。そこへ、大口を開けたネフィリムは火炎弾を吐き出す。
着弾した炎は、一瞬で周囲を高熱で包み込み、焦土と化した。
「うッ!」
「この火力……アキレウスでも耐え切れないぞ……ッ!?」
「喰らい尽くせ、僕の邪魔をする全てをッ! 暴食の二つ名で呼ばれた力を示すんだ、ネフィリィィィィィムッ!」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
主の咆哮と共鳴するように、巨人は天へと向けて高らかに咆哮した。
ff
その頃フロンティアのブリッジでは、一人残されたマリアが俯き、その目に涙を浮かべていた。
「力のない私では、何もできやしない……セレナの歌を、セレナの犠牲を無駄なものにしてしまう……」
本当は自分も戦いたい。見ているだけなんて嫌だ。
でも、既に彼女はガングニールを響に渡した身だ。
戦う力のない自分では、戦場に立つことは出来ない。
ツェルトは自分のやるべき事を果たすため、この場を去った。
では自分にできることは、本当にないのだろうか。
無力感に再び涙を流しかけたその時……頭上から光が降り注いだ。
「マリア姉さん」
「……セレナッ!?」
見上げるとそこには……懐かしき、在りし日の妹の姿があった。
「マリア姉さんがやりたい事は何?」
「私のやりたい事……」
セレナからの問いかけに、マリアは今まで隠し続けてきた心の内を、偽りない言葉でさらけ出す。
「……歌で、世界
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