TURN42 雨蛙その一
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TURN42 雨蛙
日本が用意した茶室にだ。山下は招かれた。
そこには日本と東郷、それにベトナムがいた。山下は今は桃色と赤の艶やかな着物姿だった。その着物姿で茶室に入って言うのだった。
「では。僭越ながら私が」
「お茶を淹れて下さいますか」
「そうさせて頂く」
既に部屋の中にいて正座している日本に言うのだった。
「是非共な。しかし久し振りだからな」
「お手並みはですか」
「不安がある。それでもいいだろうか」
「茶道は楽しみものですし。それに」
「それにとは?」
「山下さんは茶道の免許皆伝でしたね」
日本はこのことを知っていた。実は山下は茶道の奥義を伝授されているのだ。その他には剣術に柔術、居合に華道や和歌においても免許皆伝を受けている、武人としてだけでなく教養人としても一流なのだ。
そのことを知っているからだ。日本も言うのだった。
「そのお手並みを見たいと思います」
「そう言ってくれるか」
「ではお願いできるでしょうか」
「わかった。それではだ」
「お茶も美人さんに淹れてもらうのが一番だ」
東郷は座布団の上に正座した状態だった。
「楽しみだな、これは」
「貴様はここでも女か」
山下は茶室でも軽い感じの東郷をきっと見据えて言い返した。
「茶道を何と心得ている」
「俺も茶道には心得があるんだが」
「その言葉偽りだな」
山下は東郷の今の言葉は頭から否定した。
「不埒者が。それでいいのか」
「茶道も楽しむものだからいいと思うが」
「茶道は道だ。祖国殿のお言葉は私を気遣ってのことだ」
「だからなのか」
「そうだ。東郷、貴様はその心を慎め」
山下の言葉は厳しい」
「全く。何につけてもいい加減な者だ」
「いい加減かはともかくだ」
ここでベトナムが言う。アオザイ姿はいつも通りだ。
しかし苦しそうな顔でだ。こんなことを言うのだった。
「この茶道は辛いな」
「ああ、正座か」
「そうだ。正座は辛いな」
こう東郷に述べるのだった。
「戦争よりも遥かに辛い」
「では足を崩されて下さい」
すぐにだ。日本はベトナムにこう告げた。
「お辛いのでしたら」
「作法ではないのか?」
「作法は楽しむものですので」
それでだというのだ。
「苦しんではいけません」
「だからか」
「はい、足を崩されて下さい」
日本は再びベトナムに話す。
「くつろいで下さい」
「悪いがそうさせてもらう」
ベトナムは日本の好意を受けることにした。それでだtった。
足を崩した。そのうえでだ。
山下が淹れる茶を日本や見せる作法を真似て飲んでからだ。こう言った。
「変わった茶だな。かなり苦い」
「ですがそれでもですね」
「ああ。飲んだ後が
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