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工夫しないと老舗も
第三章

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「食べてくれるかしら」
「その新メニューをなの」
「売り出したばかりだけれどね」
「もう試食してみたの」
「それでいけると思ったからね」 
 だからだというのだ。
「出してみてるのよ」
「それで私にもなのね」
「食べて欲しいけれど」
「正直想像出来ないわ」
 美空は姉に眉を顰めさせて言葉を返した。
「イタリア料理ってトマトとね」
「それにオリーブオイルね」
「大蒜にチーズよ」 
 こうしたものを多く使うというのだ。
「イタリアの国旗の色は何かとも言われるし」
「赤がトマトで白がチーズね」
「それで緑がアボガドだけれど」
「アボガドもおうどんに合わないっていうのね」
「全くピンとこないけれど」
「そのピンとこないとあんたが思っていたことからよ」
 まさにそこからだというのだ。
「ヒントが出てね」
「新メニュー出たのね」
「食べてみる?」
「それじゃあね」
 美空はまさかと思いつつも姉に応えた、そしてだった。
 夫の智昭、すらりとした外見に涼し気な顔立ちの長身の彼を連れて姉の店に行った。そうしてだった。 
 二人用の席に座ってその新メニューを見るとだった。
「カルボナーラうどん!?」
「そうよ」
 注文を聞きに来た姉は妹に笑顔で言った。
「それがなのよ」
「お姉ちゃんのお店の新メニューなのね」
「そうよ、生み出したメニューはね」
「カルボナーラって」
 美空はどうかという顔で述べた。
「物凄く濃い味で」
「ベーコンと生クリームと卵の黄身を使ったね」
「黒胡椒もね」
「物凄く美味しいのよね、あんたのお店でも」
「美味しくてもよ」
 それでもとだ、美空は亜希に言った。
「パスタの中でもね」
「一番和食的じゃないっていうのね」
「イタリア料理全体がそうでも」
「あの、どんなものですか?」
 美空の夫も亜希に問うた。
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