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曇天に哭く修羅
第三部
気付き
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『紫闇なら出来る。誰が否定しても俺が信じる。だから自分の可能性を諦めないでくれ』


「ああ……そうだ。聖持が居なかったら俺は修業に耐えられなかった。何で忘れてたんだ。何で気付かなかったんだろう」


師匠になってくれた焔や聖持のような友だけでなく、《江神春斗(こうがみはると)》のように対抗心をもたらしてくれる強敵もそうだ。

応援してくれるファンのように紫闇が顔も名前も知らないような人も同じ。


「凜音の言う通りだよ。誰かが支えてくれるから人は前に進めるんだ。俺は色んな人の力を貰ってやって来た。佐々木だって同じはず。その支えになったのはきっと」


紫闇は凜音を見る。


「?」

「凜音のお陰で間違いに気付けた。お陰で何の迷いも無い。自分が正しいと信じて戦える。今までの信念は捨てることになったけどな」


凜音は困惑していた。


「勝つよ。そしたら佐々木は凜音と元の関係に戻れるだろうからな」


紫闇はマンションの自室に戻る。


「ん、着信か」


《矢田狂伯/やだきょうはく》からだ。


「やあ立華君。突然なんだけど良いかな?」

「構いませんが」

「佐々木凜音の身柄をこちらで預かった。俺の要求は領域内戦争決勝での敗北だ。申し訳ないとは思うが宜しく頼む」

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