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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第38話:手品で出来るコト
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「止めてッ!?」
未来は思わず渾身の力で響を突き飛ばし、響は思わず手を離してその場に尻餅をついてしまった。
大した力で突き飛ばされた訳ではないが、親友に力尽くで距離を離された衝撃が響の思考を停止させ呆然とした表情で未来の顔を見つめる。
その隙に未来は屋上を逃げるように立ち去り、響はその場に取り残されてしまった。
「どうして……こんな」
響の心は後悔と罪悪感、絶望感で包まれた。
何故、もっと早くに未来に事情を説明しなかったのか。多少なりとも事前に説明をしておけば、未来を悲しませることはなかった筈だ。
未来に嘘をついてしまった。彼女は響の事を信じてくれていたのに、響はそれに応えなかった。
未来に拒絶されてしまった。強引に引き留めようとした挙句、彼女を泣かせて突き飛ばされ、彼女はそのまま響の前から立ち去ってしまった。
「いやだ……いやだよぅ──!?」
足元から崩れて、暗い海の中へ落ちていくかのような絶望感に響の目に涙が浮かび零れ落ちた。一度流れると、涙は止め処なく流れ落ちる。
「うぅ、うあぁぁぁぁぁ──!?」
誰も居ない屋上で、響は1人涙を流し続けていた。
***
「…………Oh, Jesus」
響が未来と仲違いする様子を、颯人はガルーダの目を通じて二課本部からこっそり見ていた。
先日の戦いの後、巻き込まれた少女が響の親友であり以前彼女が相談を持ち掛けた理由でもある相手である事に心配になって使い魔で様子を探っていたのである。
その結果はご覧の通り、修羅場とも言える仲違いの様子をバッチリ見てしまい、颯人は居た堪れなさと罪悪感で思わず顔に手を当て天を仰いでしまった。
「どうした、颯人?」
突然ぼやいた颯人の様子に奏が問い掛けると、彼は顔から手をどかして事の顛末を彼女に説明した。
「修羅場到来。響ちゃんがお友達の未来って子と喧嘩しちまった」
「未来……それって──!?」
「そ、この間響ちゃんが相談してきたお友達って子だろうよ。昨日の戦闘で巻き込まれた子だ」
「うわっちゃぁ……まずそう?」
「かなりまずいな 未来って子は今は何も聞きたくないって感じだし、響ちゃんは滅茶苦茶落ち込んでる。もしこんな状態で出撃して見ろ、ろくすっぽ戦えずに的になっちまうぞ」
シンフォギアは装者の精神状態にコンディションを大きく左右された。精神的に乗っている状態であれば普段以上の力を発揮できる。逆もまた然りだ。
とは言え、颯人は状況を絶望的に捉えてはいなかった。彼から見て、未来は完全に響を見限っているようには見えなかったのだ。
恐らく、今の未来は自分でも感情をコントロールできていないのだろう。頭では響の事情な
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