暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第38話:手品で出来るコト
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
微塵も取り乱すことなく、侮蔑の視線をクリスに向けた。

「あぁ、そう言えば一つあったわ」
「あ? 何がだ?」
「価値よ、価値。ま、価値があるのはクリスじゃなくて透の方だけれど…………ね?」

 フィーネがそう言った直後、館内の2人から見て死角になるところから次々とメイジが姿を現した。その光景にクリスは目を見開き、透はクリスを背後に庇った。
 先程から透が周囲を警戒していたのは、このメイジ達の気配を薄々と感じていたからだった。

「こ、こいつらは透を狙ってるって言う!? どう言う事だフィーネ!?」
「透の古巣と取引したのよ。透を差し出す代わりに、魔法使いを何人か貸してくれってね」
「テメェ──!?」
「正直ね、透1人じゃ不安だったのよ。ウィズと明星 颯人、2人の魔法使いに対して透は1人。二課の装者も合わせると戦力不足は否めないわ。それを透1人差し出すだけで解消できるんだから、利用しない手はないわよね」

 さも当然のように言うフィーネを、クリスは射殺さんばかりの視線で睨み付ける。
 その間にもメイジ達は少しずつ距離を詰めてきていた。透は片時もメイジ達への警戒を緩めることなく、クリスと共に徐々に館の入り口に向け下がっていく。

「カ・ディンギルも完成し、魔法使いへの対抗手段も手に入れた。もう怖い物などない! だからあなた達は用済みなのよ!」

 上機嫌に笑いながら、駄目押しでソロモンの杖からノイズまで召喚するフィーネにクリスも形勢不利を感じずにはいられなかった。ただでさえ2人は先の戦闘での消耗を癒し切れてはいないのだ。
 この数を相手に戦えば不利である。

「くっ!?」

 イチイバルを纏って戦おうとするクリスだったが、透がそれを制した。それを何故と問う前に、彼は指輪を嵌めた右手をハンドオーサーに翳した。

〈スパーク、ナーウ〉

 ベルトから詠唱が響き、透が右手を翳すと眩い光が周囲を包み込んだ。唐突な光に誰もが眩しさに目を瞑り、その場で動きを止める。
 その影響を受けなかったのは、魔法を使った本人である透と彼がやろうとした事にいち早く気付いたクリスだけであった。

 周囲の魔法使いが目眩ましに隙を晒している間に、透は目を瞑って閃光から視界を守ったクリスの手を引いて洋館から逃げ出した。

〈コネクト、ナーウ〉

 洋館から出ると同時に眼前に発生させた魔法陣を潜り抜けると、その瞬間には透はライドスクレイパーに跨っておりクリスの手を引いて自身の後ろに乗せて飛び立っていった。

 その直後にぞろぞろと館から出てきて、同様にライドスクレイパーを取り出して追跡の為飛び立つメイジ達。
 彼らが飛び立つと、最後に悠々と姿を現したフィーネは飛行型ノイズを複数召喚しそいつらも2人の追跡に向かわせた。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ