第五十九話 先輩と神戸でその六
[8]前話 [2]次話
「いいお引き寄せがあるから」
「それで、ですか」
「絶対にね」
本当にというのです。
「いいことになるわよ」
「先輩が言われるなら」
私としてもでした。
「そう思えてきました」
「それならいいわ、ただね」
「ただっていいますと」
「ちっちって私の言うこと何でも聞いて信じてくれるわね」
先輩は私にこうもお話しました、一緒に神戸の街を歩きながら。
「高校一年生の時から」
「先輩は嘘なんて言われないですし」
そんなことは一度もありません、素直で正直な人です。
「真面目な人なので」
「だからっていうのね」
「はい、先輩が言われることなら」
それならです。
「私はです」
「信じてくれるのね」
「はい、そうです」
「それは嬉しいけれど」
先輩はここで私に微妙なお顔になって言いました。
「私だって変わって。悪い人になって」
「先輩がですか」
「それでね」
「私を騙したりですから」
「するかも知れないわよ」
「先輩はそんなことしないです」
私は先輩にはっきりと言いました。
「絶対に」
「そう言えるの?」
「言えます、先輩みたいないい方いないですから」
「そう言ってくれるのは嬉しいけれどね」
先輩は私に寂しい笑顔になって言ってきました。
「けれど誰だってそうよ」
「悪くなることもあります?」
「悪い面を出したりね」
そうしたこともあるというのです。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ