第百三十九話 軍師の読みその五
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「そうなったな」
「森鴎外は医師としては」
「本職それやったけどな」
「お世辞にも、でしたね」
「勉強出来て小説家とか翻訳家としては凄かったけどな」
それでもというのだ。
「医師として、人間としては」
「舞姫はあの人だったでおじゃるな」
夏目はこの話をした。
「ああしたお話があったと聞いたでおじゃるが」
「その説あるしな」
「やっぱりそうでおじゃったか」
「何も森鴎外をエリートで作家で翻訳家でチートって目キラキラさせて言う文学女子おるけどな」
「人間として、医師としては」
「論外や」
「そうですね」
「お世辞にもええ人やなかったらしい」
「というか腐れ外道やろ」
麻里佳ははっきりとこう言った。
「あいつは」
「その通りやな」
「やっぱりそうですね」
「ほんま人間としてはな」
まさにというのだ。
「褒められた人やなかった」
「そやから脚気のことでもですね」
「めっちゃ叩かれてる」
陸軍の軍医として批判されている、このことは事実である。
「その辺りわかってへんとな」
「あきませんね」
「というか」
今度は滝沢が言ってきた。
「森鴎外みたいなことにならん様に」
「そや、ほんまにや」
実際にというのだ。
「ちゃんと食べてくで」
「白米以外のものも」
「しっかり戦ってもらう為にな」
「そうですか、だから」
滝沢は中里に確かな声で応えた。
「カレーライスもですね」
「よお出してるんや」
食事にというのだ。
「そうしてるんや」
「左様ですね」
「ただな」
「ただ?」
「最近カレーについても」
「ちょっと考えてるんだよ」
日本の食事のことを担当している麻友が言ってきた、彼女が中里の下で料理つまり栄養のことも担当しているのだ。
「ご飯もね」
「麦飯とか」
「そうそう、それも考えていてね」
麻友は滝沢にはきはきとした声で話した。
「あと十六穀ご飯もね」
「それもか」
「考えてるよ」
「ご飯も大事だからな」
「主食なだけにね」
「白米だけじゃ本当に駄目か」
「この世界では皆ちゃんと食べてて」
それでというのだ。
「脚気にはならないけれどね」
「それでもだよな」
「気をつけてこそだから」
脚気にならないのはというのだ。
「だからね」
「ちゃんとか」
「あたしも考えてるよ」
「お鍋もいいですね」
千歳はこちらの料理を話に出した。
「鶏でもお魚でも」
「そうそう、お野菜も沢山入れるからね」
「いいですね」
「実際にね、とにかくね」
「お食事については」
「本当に考えてるよ」
何かと、というのだ。
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