第83話『肝試し』
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「オッケー」
晴登は結月に連れられ、莉奈の元へと向かう。
しかしこの時、後にあんな恐ろしい事件が起こるとは、誰も夢にも思っていなかった。
*
「さすがに遅すぎないか…?」
「そ、そうだね…」
「おかしいなぁ…」
結月と莉奈と待つこと20分。もう男子の最後の班がゴールに着いたというのに、未だに大地の班だけが辿り着いていないのだ。
他のクラスの先生が点呼を始めようとしているのを見ると、やはり異様に遅い気がする。
「もしかして迷ったとか…?」
「ま、まさか…」
先程結月から聞いた仮説が間違っているとは思えない。ただ、もしも本当に迷うルートがあるのだとしたら。
…いや、大地が居るのだ。もしそうなっても、すぐに引き返す選択肢を取るだろう。普段おちゃらけてはいるが、あれでも成績優秀なエリートだ。まぁ唯一の欠点が──
「あぁぁぁぁぁ!!!!!」
「うるさっ! ちょっと、いきなりどうしたの晴登?!」
「肝心なことを忘れてた! 莉奈、大地の欠点と言えば!」
「え? そりゃ──あっ」
晴登の言わんとすることに彼女も気づいたようだ。そうか、これが肝試しが始まる前に感じた違和感の正体だったのか。だとすれば、事態はかなり深刻である。
「なになに!? 2人してどうしたの?!」
「あ、そうか、結月はまだ知らないんだったな。実は大地は──方向音痴なんだ」
「……へ?」
真面目な顔で言った晴登とは対称的に、結月はマヌケな声を上げたのだった。
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