第83話『肝試し』
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。
というか、どちらかと言うとこの叫び声の方が怖く感じる。聴こえる度に肩がビクついてしまうのだ。
「結構レベル高そうだな…」
「実は本物呼んでたりして」
「ちょっと止めてよ!」
「ごめんごめん」
伸太郎の言葉に、気を紛らわそうと冗談を言ったつもりだったが、狐太郎にビビられてしまう。
しかし晴登も内心かなりビビっているので、軽口でも叩いていないとやってられない。
「それじゃ次は、いよいよ男子の番ですね」
「「!!」」
山本の言葉に、男子たちは押し黙る。どうやら女子の班は全て出発してしまったようだ。ついに恐怖の肝試しが始まってしまう。
「これちゃんと女子はゴールしてるのかな」
「全員迷ったらシャレにならねぇぞ」
晴登と伸太郎は未だに不安が拭えない。ここは森だ、迷ったと遭難したは紙一重。しかし、もう逃げることは許されないのだ。
「それでは1組から順番にスタートしましょうか。それでは班の順番に」
やはりそう来るか。これはもう腹を括るしかない。
1組は班が3つあり、晴登たちは3班。すなわち、出発するのは一応1組の最後ということにはなる。1番目よりは些か気分は楽だが・・・
「まぁ、正直関係ないよね」
「順番通りにゴールできるとは限らなそうだし」
晴登は大きく深呼吸。スタートは前の組がスタートしてから1分後だ。もう猶予は無い。
「それじゃ、行ってくるよ晴登」
「気をつけてな、大地」
手を振りながら、大地率いる1班がスタートしていった。彼は肝試しに強いから、特に心配は必要ないだろう・・・ない…よな? 何だろう、この違和感は。気のせいだといいのだが。
「なーに辛気臭い顔してんだ三浦! まさかビビってんのか?」
「ビビってない訳じゃないけど…」
「深く考えんなよ。これは肝試しだ、所詮茶番なんだよ」
班員の男子の言うことも一理ある。確かに学校行事で人が遭難しようものなら、それは学校側の責任だ。そんなリスクを安易に負うはずはない。
「…そうだね。少し心配しすぎだったかも」
「おう! 気楽に行こうぜ!」
随分と元気な人だ。こういう人が居るとムードが暗くならないから、班長としてはとてもありがたい。それに、少し憧れちゃうな。
「そろそろだぞ、三浦」
「そうだね。柊君、大丈夫?」
「う、うん、たぶん…」
口では平静を保とうとしている狐太郎だが、既にその右手は晴登の服の裾を掴んでいる。やはり恐怖は拭えないのだろう。
これを見て、晴登まで情けなく怯えている訳にはいかない。
「それじゃ、3班スタート」
「「はい!」」
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