第8章:拓かれる可能性
第251話「可能性の“愛”」
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じだ。
可能性が少しでも残っているのなら、最後の最後まで諦めない。
押されていても、それを押し返すつもりで力を振り絞る。
「そうね……!ここで押し返す程の気概がないと、優輝を元に戻すなんて、出来ないでしょうしね……!私達を、舐めるんじゃないわよ!!」
「優ちゃんがあたし達を大切に想っていたように、あたし達も優ちゃんが大切!……だから、一歩も退けない……!」
「優輝君……!お願い……私の、私達の祈り……届いて……!!」
「優輝さん……どうか……正気に戻って……!」
啖呵を切り、決意を口にし、懇願する。
五人共、諦めているようで、決して諦めていない。
その“意志”が、さらに押し返す力となる。
「ぉおおおおおおおおおっ!!」
だが、その上から、優輝はさらに力を強める。
押し返そうとする緋雪達を、さらに圧倒する。
「ぐ……!」
耐える。ただ耐える。
力を振り絞り、決して負けないと“意志”を抱いて。
徐々に押されていようと、それは変わらない。
「ぅ、ぁ、ッッ……!!」
それでも、現実は変わらない。
徐々に押し込まれ、後少しでもすれば、体勢が崩れてしまう。
―――その時だった。
「止めなさい!優輝!!」
「止めるんだ!優輝!!」
二つの声が、同時に響く。
「ッ……!」
「この、声って……」
その声は、優輝と緋雪にとって、聞き覚えがあった。
「緋雪!今よ!」
「ッ……!ぁあああああああっ!!」
その声に、優輝も緋雪も一瞬動揺した。
直後、椿の一喝と共に緋雪達が優輝の攻撃を押し切った。
僅かな動揺によって、攻撃の手が緩んでいたのだ。
「が、ぁああああああああああああああああああああああ!!?」
“闇”の奔流が押し返され、優輝は五人の極光に呑み込まれる。
しかし、それは一瞬だけだった。
すぐさまその場から消えるように離脱してしまった。
「っ……転移封じが……!」
司が慌てて転移封じの魔法を掛け直す。
先程の攻撃を防ぐのに集中するあまり、転移封じが解けていたのだ。
優輝はそれに気づいていたからこそ、転移で逃げたのだ。
「ぐっ……!」
それでも、ダメージは大きい。
司が転移封じを掛け直すのを阻止出来ずに、転移先で膝を付いていた。
「さっきの……」
「……間違いないわ」
奏が先程響いた声の方向へ目を向け、椿が確信する。
緋雪や葵、司だけでなく、優輝すらそちらに目を向けていた。
「……お母さん、お父さん……」
緋雪が信じられないと言った様子
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