三十七 『 』
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た“根”の忍び…大蛇丸が最期の土産にと、くノ一に真実を語って聞かせていたらしい」
ノノウとカブトは“根”にとって危険人物と見なされ、最初から共倒れするよう仕組まれていたのだ。
カブトを“根”から解放する条件として、ある男の暗殺をダンゾウから命じられたが、その男こそカブト自身。
写真でカブトの成長過程を知らされていたノノウは途中からその写真が別人にすげ替えられていることに気付かずに、カブト本人を狙い、そして息の根こそ止めなかったものの致命傷を与えたのだ。
暗殺対象を倒し、ようやくカブトを解放できると安堵しながら潜伏している岩隠れの里へ戻ったノノウの許に、“根”の命令でカブトとノノウをずっと監視していた大蛇丸が現れる。
そこで無情にも、大蛇丸は彼女に真実を告げたのだ。
名と眼鏡と居場所を与えた相手に、今しがたお前は致命傷を与えたのだと。
カブトの才能をもったいなく思っていた大蛇丸は、彼女を糾弾し、ノノウ自身は自責の念からその場で自ら命を絶った。
それが、ノノウを監視していた影分身からの報告だ、と得体の知れない誰かはカブトに淡々と語った。
「スパイも、優秀過ぎると考えものだな…」
「………」
ノノウが自分を憶えていなかった理由も、自身を狙った原因も、“根”が自分とノノウを処理しようと企んでいた事実も、カブトは理解できた。
理解はできたが、納得はできなかった。
「里の為に長い間、命がけで情報を集めさせておいて…ッ、その結果がこれか…!」
情報は時として、強力な武器や術よりも強い力を持つ。
スパイとして知り過ぎたノノウとカブトは、“根”の企みにより共倒れするように最初から仕組まれていた。
そうして、万が一生き残ったほうを始末する為に“根”より遣わされた忍びが大蛇丸だったのだ。
「何があっても僕の姿を忘れない親がマザーのはずだったのに…!“根”のアイツらのせいで、何もかも無茶苦茶じゃないか…!!」
激昂するカブトを、男は静かに眺めている。
やがて、無梨甚八に似た誰かは、怒りで肩を震わせるカブトへ、ただ一言、述べた。
「俺はお前を憶えている」
「……っ、」
「霧隠れの里で一度しか会わなかったが、それでも憶えていたからこそ、お前を助けた」
顔を伏せていたカブトはゆっくりと視線を男に向けた。
だが、その時、目の前に佇んでいるのは、無梨甚八でも、それに似た姿の男でも無かった。
「あなたは…いや、君は…」
眼鏡の奥の瞳を大きく見張り、カブトは食い入るように、寸前まで己と話していた誰かを凝視する。
射し込んでくる天からの月の光が、カブトよりずっと背が低い相手の姿をぼんやりと浮き上がらせた。
両頬に髭のような三本の痣があるが、
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