暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
願いとは
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
分倫理が破綻しているマスターね」
「随分強く言うな」
「当たり前じゃない。聖杯戦争なんて非条理に参加している時点で、願いなんて愛か命になるのだから。その気がないならなぜ生きているのかしら? アサシン」
「私が知ることではない」
「……」

 ほむらとアカメが険悪な空気を流している中、可奈美は静かに少年の瞼に手を当てて蓋をした。

「ほむらちゃん。アカメちゃんも……」

 可奈美は、きっと二人を睨む。やがて、アカメの盾になるようにほむらと対峙した。

「こんなに苦しみや悲しみを出して、それで叶えたい願いって何なの? 誰かを犠牲にしてまで叶えることなの?」
「ええ。そうよ」

 ほむらは即答した。

「私は願いのために、全てを犠牲にすると決めたの。もう、何も頼らない」
「……キャスターもか?」
「キャスターと私はあくまで互いを利用しあっているだけよ。聖杯に願いを叶えるためには、マスターとサーヴァントの存在が不可欠よ。監視役にもそう言われたでしょう?」
「……」
「でも、その願いを……」

 思わず口を挟む可奈美だが、言葉はほむらによって遮られた。

「願いという、人間の欲望を、貴女に止めることなんてできはしないわ。聖杯戦争にいるということは、貴女の願いも他に手がないことでしょう?」
「それは……」
「大概この手の戦いに参加する人は、他に手がない人よ。巻き込まれた松菜ハルトは別にして、正規で参加したマスターの願いは簡単なものじゃないはずよ。貴女もそのはずでしょう?」
「……」

 可奈美の拳に力が加わる。

「そうだね……でも、きっと……聖杯戦争以外の方法だって、あるはずだよ……!」

 可奈美が弱弱しく訴えた。その時。

『うわああああああああああああああああ!』

可奈美の思考を中断させる、大きな悲鳴が聞こえてきた。

「何?」

 唖然とする可奈美の耳に続く、爆発音。それにより、赤黒の空間全体が揺れた。

「マスター」

 キャスターが、こちらへ近づいてきた。

「サーヴァントとは違う魔力反応です。おそらく、アサシンのマスターかと」
「そう。……さっきまでの怪物たちとは違うのね」
「はい」
「行かなきゃ!」

 可奈美は、千鳥を抜く。白い霊体としての体となるが、全身が重い。

「うっ……」

 足元がふらつく。連続の写シと必殺技の使用で、体がもたなくなっていた。

「っ……」

 体力が勿体ない。可奈美は写シを解除し、ダッシュで部屋から出ていった。
 その背後で、ほむらとキャスターも続く。
 ただ一人。アカメが、じっと少年の遺体を見下ろしていた。



 マヤに手を引かれるがまま、チノはこの訳の分からない空間を走っていた。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ