第三章
[8]前話
「それじゃあな」
「ええ、今からね」
「あの子のお墓作るか」
「そうしましょう」
妻は夫に沈んだ顔で答えた。
「これから」
「こうしたこともあるからな」
夫はこうも言った。
「本当にな」
「そうよね」
夫婦でこうした話をしてだった。
子犬を埋めて墓を作ろうと犬の方に行った、すると。
美和は両親の驚く声を聞いて起きた、それでパジャマ姿のまま二人がいる犬のところに行って尋ねた。
「どうしたの?」
「どうしたもこうしたもない」
「見て」
「見てって?」
「犬だ、よく見るんだ」
「あんたもね」
「?何があったの?」
美和は両親に言われ犬達を見た、すると。
犬は八匹いた、どの犬も元気に動いている。それは。
「ワン」
「ワンワン」
「クゥ〜〜ン」
「ワフウ」
「ワォ〜〜ン」
「ワウン」
「ワンッ」
「ワフッ」
昨日死んだ筈の背中と頭が丸く茶色になっている白犬の子もだった、美和はその犬が元気に動いているのを見て両親に言った。
「この子昨日死んだのに」
「蘇生したみたいだな」
「夜のうちにね」
「どうしてかわからないが」
「そうなったのよ」
「若しかして」
美和はこうも言った。
「死んだんじゃなくて」
「ああ、そうだな」
「元気がなかっただけでね」
「元気になったのかもな」
「夜の間に」
「そうなのね、とにかくね」
美和は自然と笑みになった、そしてその笑みで両親に言った。
「ワンちゃん元気になってよかったね」
「ああ、本当にな」
「そうなって何よりよ」
両親も娘に答えた、そうしてだった。
犬達の名前が決められた、茶色の子は雄だったのゴン、頭が茶色い子は雌でマナ、背中が丸い茶色の子は雄でジロ、白い子は雌でシロ。足が白い茶色の子雌ではベニ、上が茶色で腹が白い子は雌でサキ、その背中と頭が丸い茶色の子その元気になった子は雄だったのでユウと名付けられた。
七匹はそれぞれの家に貰われていった、そして。
七匹はミミともお互いともよく会ったが美和も彼女の両親も今は。
ユウが生まれた時のことを笑顔で話した、もうすっかり元気になっている彼のことを。そのことを話すのだった。その彼と会った時も。
動かなくなった子犬が 完
2020・6・24
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