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曇天に哭く修羅
第三部
殺しに来てる 2
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紫闇は極寒の中に居た。

相手の異能だ。

先程まで目前に居た水の奴ではない。


(10分持つかなこれ)


徐々に思考が鈍っていく。


(先ずは俺を檻の中に入れて分断した奴を見付けないといけないんだが、俺は感知系の異能を持ってないんだよな)


【風天学園】の選手として出てきた【暗部】がこのまま紫闇のことを凍死するまで放っておくことは無いだろう。

もう大丈夫だという確信が出来れば一斉に仕掛けてくるはずだ。


(俺を殺しに来たのなら凍死という形ではなく自分達の手で殺したという実感が欲しいはず。魔術師は治癒能力が高いから)


紫闇が逆の立場ならそうする。

彼には【珀刹怖凍/びゃくせつふとう】という力が有るからだ。

擬似的な時間停止で攻撃を躱されても困るし近付いたところでカウンターを取られても困るのは目に見えている。


(問題はこの力のリスクだ)


以前に《黒鋼焔》が忠告してくれたが紫闇は《レックス・ディヴァイザー》との戦いを経てやっと実感できた。

珀刹怖凍は焔が言った以上に何かしらの危険をもたらすことを本能で察知する。


(出来れば使いたくないが)


頭脳以外の戦闘スペックなら暗部より高い紫闇が使う『コレ』は本当に厄介だが見えないほど遠くに居れば何とかなる。


(ブラフでもかましてやるか)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


紫闇はぶつぶつと呟き出す。

それを見た暗部の空気が変わった。

隠れている暗部も気付いたのだろう。

紫闇が珀刹怖凍を使う時には必ず詠唱をしてきたのでそれをしていると思ったに違いない。

紫闇の声が聞こえないなら何を言っているのか解らないのだから。

その力は暗部にとって避けたいもの。

故に邪魔をする。


「!」


土色の弾丸。

水使い・冷気使い・檻の主・檻に電気を流した奴に加えて5人目が来たのか。

ということは風天学園のメンバーは紫闇と共に檻の中で揃っている可能性が有る。

一網打尽のチャンスだ。

逆に一斉攻撃の危険も有る。


(今は回避に集中だな)


土色の弾丸を躱す。地面へと着弾。その弾丸が爆ぜて割れて何か出た。

垂れ流された液体が地面を溶解。

紫闇は弾丸の来た方向に走る。

途中で高圧の水が大量に飛ぶ。

魔晄防壁は物理的な攻撃を防げるが異能の攻撃を防ぐには異能の威力と性質が関わってくるので防げるとは限らない。

それに紫闇の幼馴染みで今の自分より強いと認め見上げる程の高みに居る《エンド・プロヴィデンス》が紫闇に注意するような威力の攻撃を無視するわけにもいかない。

攻撃に間が出来れば前に進
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