第一章
[2]次話
猫が見た正体
渡辺円、茶色の癖のある髪の毛を脇に届く位に伸ばした二十四歳にしてはあどけない感じの顔立ちで鳶色の大きな目を持つ彼女に同じ会社のある男性社員が言った。
「渡辺さん古森善久と付き合ってるって?」
「はい、何度かお食事した位ですが」
円はその社員に答えた、見れば円は170位の背の社員より十センチ位低い。スタイルは普通といったところで膝までのタイトスカートの制服も普通に着こなしている。
「あの人色々言われていますね」
「女の子から評判はいいけれど」
それでもというのだ。
「部長におもねったりね」
「色々言われていますか」
「だからね」
「お付き合いすることはですか」
「女癖悪いって噂もあるし」
それでというのだ。
「気をつけた方がいいかも知れないよ」
「まさかと思いますが」
「まあ一応ね」
「気をつけておいた方がですか」
「うん、そう言っておくよ」
こう言われた、だが。
円は古森についてまさかと思った、それで彼と付き合いを続け。
そうして彼を自分の部屋に呼ぶことにした、それで彼を部屋に入れると。
彼女が先日会社の帰り道で拾った濃い茶色の毛の雄の雑種の猫のミケが古森背は高く優し気な顔立ちのすらりとした人のよさそうな彼を見てだった。
急に毛を逆立てて威嚇しだした。
「フ〜〜〜ッ!」
「えっ、ミケ」
これには円も驚いた、自分にはよく懐きいつも喉を鳴らす猫だからだ。
どうして古森を見るとそうなるかわからなかった、しかも。
威嚇で終わらずジャンプして襲い掛かった、そうしてだった。
「ニャアアアアア!!」
「な、何だこの猫!」
引っ掻いて噛みだした、顔には襲い掛からなかったが。
彼のスーツを攻撃してきた、これに古森は。
「馬鹿猫、止めろ!」
「ニャア!」
「あっ、ミケ!」
ミケを殴り飛ばした、ミケは吹き飛ばされ床に叩きつけられた。円はそのミケに慌てて駆け寄ったが。
幸い無事でまた古森を威嚇しだした、怒った古森はもう帰ると言って。
部屋を後にしてミケを心配している円にスマホであんな躾のなっていない猫を飼っている人とは付き合えないとラインで言ってきた。それでだった。
円は大学時代からの友人にスマホでこのことを話すとこう返された。
「一目見てなのね」
「ええ、ミケが威嚇してね」
「毛を逆立てて」
「それで襲い掛かったのよ」
「普通じゃないわね」
「あんたうちに来ても懐いたし」
その友人にもだ。
「それで他の人にもなのね」
「その人に対してはなのね」
「もういきなりだったのよ」
「その人やばい人じゃないの?」
ここで友人はこう円に言った。
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