第二章
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「連絡なんてな」
「来たことないか」
「一度もな」
「そんなものか」
「ああ、だからな」
「これからもか」
「俺はずっとな」
「愛情を知らないままか」
「生きていくんだろうな」
シニカルな笑みと共に言った。
「俺は」
「そうか」
「ああ、まあそれも人生だろうな」
コーヒーを飲んでからこうも言った。
「結局な」
「寂しい言葉だな」
「ははは、けれどその通りだろ」
彼は自分は愛されないしそうしたものには無縁だと本気で思っていた、もうこれはどうしようもないとだ。むしろスペンサーの様な友人がいるだけでいいと思っていた。
だがそんなある日のことだった。
出勤する時にアパートの前に一匹の猫がいた、その猫は。
色は白いがところどころ赤く見える、皮膚病なのか毛があちこちなくなっていてそこから肌が見えているのだ。
左目は潰れていて右耳はなくなっている。尻尾もなくなっていて付け根のところがあるだけだ。随分酷い姿だ。
その猫に通りがかった子供が声をかけた。
「あっ、猫ちゃんだ」
「ニャア〜〜・・・・・・」
猫は子供に人懐っこい声を返した、だが。
子供と一緒にいる母親が子供に言った。
「触ったら駄目よ」
「どうして?」
「こんなに汚いのよ」
その猫の外見を見て言う。
「病気持ってるかも知れないでしょ」
「だからなの」
「触ったら駄目よ」
「ニャア・・・・・・」
猫は母親の言葉にしょげかえって隅っこで蹲った、マイヤーはその猫を見てから出勤した。この時はそれで終わったが。
猫はアパートの近くに居ついた、その外見からアパートの住人にも近所の者達にも嫌われていて。
「うちの庭に入るな!」
「ニャア・・・・・・」
猫はアパートの隣の家の親父に怒鳴られていた、猫は御免なさいという様に鳴いて弱々しく逃げていった。
休日にそれを見たマイヤーはスペンサーに携帯でこのことを話した。
「そんなことなんだよ」
「それで猫はどうなったんだ?」
「逃げて今はアパートの庭にいるよ」
「そうなんだな」
「ああ、けれどボロボロだからな」
「かなり弱っていてか」
「正直どうなるかな」
これからはというのだ。
「わからないな」
「死んでもおかしくないか」
「痩せてて外見も話した通りだからな」
「それで誰も助けようとしないんだな」
「汚いって言ってな」
それでというのだ。
「アパートの奴も近所の奴もな」
「人間も猫も外見が第一ってことか」
「ああ、酷いな」
「気にかけてるのはお前位か」
「かもな、何かな」
マイヤーは眉を曇らせて電話の向こうのスペンサーに言った。
「嫌だな」
「汚いからって邪険にするのはな」
「ああ、どうしたものかな」
苦い顔で言う、正直彼は
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