第一章
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愛されなかった者同士
ロバート=マイヤーはニューヨークのアパートで暮らしている、職業は普通の会社員だったが彼はあまり幸せではなかった。
収入はあってアパートも悪いものではない、だが彼は大きなコンプレックスがあった。それで数少ない友人であるジュニアハイスクールからの知り合いであるチャーリー=スペンサー明るい感じで髪の毛を短くしているアフリカ系の彼に喫茶店でコーヒーを飲みつつ言った。
「俺の友達はお前だけって言っていいな」
「相変わらずかよ」
「ああ、俺はどうもな」
灰色がかっていて真ん中で分けて耳の端まで伸ばしている癖のある髪の毛を触りながらそのうえで話した、スタイルは悪くない。背は一七八程でスペンサーと同じ位だ。
「昔からな」
「親父さんは飲んだくれでだな」
「お袋は愚痴ばかりでな」
「家族に恵まれていなくてか」
「友達もな」
それもというのだ。
「俺を利用したい奴とかばかりでな」
「いい奴がいないんだな」
「ハイスクールでもカレッジでもそうだった」
「カレッジの教授はお前の論文いいからって自分のものにしようとしたな」
「それは幸いばれて俺は何ともなかったがな」
「そうだったな」
「そして付き合った彼女もな」
その彼等はというと。
「遊びとか俺に金を出させるとかな」
「そういうのが目的の奴ばっかりだったな」
「ああ、それで俺はな」
「人とはか」
「職場でも仕事の付き合いだけでな」
「愛情ってものとはか」
「縁がないな」
こうスペンサーに話した。
「本当にな」
「それがお前の人生か」
「ったくよ、愛とかそういうのはな」
今度はこんなことを言った。
「この世にあるとかな」
「思えないか」
「友達もお前以外はな」
「いないからか」
「そう言うお前もよく俺と友達でいられるな」
「縁だからな」
スペンサーはマイヤーに笑って返した。
「ジュニアハイスクールで会ってな」
「それからか」
「一緒にバスケやってきただろ」
「その縁でか」
「一緒さ、俺も今じゃ先生だ」
学校のというのだ。
「ハイスクールのな」
「それでお互い今もニューヨークにいるな」
「そうだな、まあ縁はな」
スペンサーはコーヒーを飲みつつ言った。
「大事にしないとな」
「駄目だよな」
「ああ、それでお前今も一人暮らしか」
「カレッジの時に家を出てな」
その愛情がない両親の家をだ。
「そうしてから一度も親と会ってないさ」
「そうなんだな」
「ずっとな、まあ二人共元気でやってるみたいだな」
「親父さんは飲んだくれてるんだよな、相変わらず」
「多分な、けれど死んだらな」
その時はというのだ。
「連絡来るだろ」
「連絡先言ってるんだな」
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