第39節「撃槍」
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」
純が差し伸べた手を握り、奏は固く握手を交わした。
「それにしたってよ……よくあれで伝わったよな」
「雪音が先輩と呼んでくれたのだ。続く言葉を斜めに聞き流すわけにはいかぬだろう?」
「それだけか?」
「それだけだ。後輩から求められれば、いつでもそのやりたいことに手を貸す。それが、先輩と風を吹かせる者の果たすべき使命だからなッ!」
「先輩……」
「つ〜ば〜さッ!」
すると、奏は翼の背後にそ〜っと忍び寄り、そして思いっきり抱き着いた。
「か、奏ッ!?」
「すっかり先輩風吹かせるようになって〜、このこの〜♪」
「ちょ、ちょっと奏ぇ! 後輩の前なんだから、そういうのは……ッ!」
「おっと、それもそうだな。まあ、翼は知っての通り、真面目過ぎる性格だからさ。また抱え込みそうになったら、遠慮なく言ってやってくれ」
「奏ぇ!!」
翼の防人口調を見事に崩させて笑う奏。
先輩としての威厳を保とうと、奏に非難の視線を向ける翼。
そんな二人を見て、気付けばクリスも笑っていた。
(全く……これだからこいつらの傍はどうしようもなく……あたしの帰る場所なんだな)
「クリスちゃん、先輩方、行きますよ。翔や立花さん達と合流しましょう」
「翔……って、翔もいんのかッ!?」
「うん。色々あってね……途中で話すよ」
純に促され、三人は振り向く。
目的地はフロンティアの中枢、中央遺跡だ。
「……ところでよ、こっからどうやって昇るんだ?」
「あ……そういえば……」
クリスからの疑問にしまった、という表情をする純。
鍾乳石は全て緑色の結晶なのだ。登ろうとすれば滑ってしまう。
「問題ありません」
「「「「うわああああッ!?」」」」
突然現れた黒スーツの人物に、4人は声を上げて驚く。
「は、春谷さん! 脅かさないでくださいッ!」
「既にF資料の図面を参照し、移動経路は割り出しています」
春谷は表情を変えずに淡々とそう言った。
「春谷さん……情報部の方ですか?」
「ええ、まあ。櫻井女史に、純くんのRN式用プロテクターが破損するだろうから、と替えのパーツを届けに来たのですが……まあ、この程度のアクシデントは想定内です」
「はあ、どうも……」
春谷は、風呂敷の中から予備のプロテクターを取り出すと、純にプロテクターを脱着するよう促した。
「あまり時間は残されていません。翼様、クリスちゃん、それから……奏ちゃんも手伝ってください」
「せ、先輩達はいいッ! それはあたしがやるッ!」
「くッ、クリスちゃん……」
思わず叫ぶクリスと、少し照れ臭いのか珍しく頬を掻く純。
その姿に翼と奏は顔を見合わせ、やれやれと肩を竦めるのだった。
一方その頃、エ
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