第39節「撃槍」
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し、クリスのアーマーパージによる初撃にて、多数のノイズを一気に減らせたことが幸いし、結果としてアーリーシルエットでの剣戟を効果的なものにしていた。
瞬く間にノイズはどんどん殲滅されていく。
そして、その場に立つのは彼女だけではなかった。
「はぁッ!」
翼の背後に迫っていたノイズが、一振りの槍に貫かれる。
振り返る翼の前に立っていたのは……純に仮面を叩き割られ、歌を取り戻した片翼だった。
「付き合えるかッ!」
「いざ往かん…心に満ちた決意 真なる勇気胸に問いて──」
翼がウェル博士の方を見ると、ウェル博士は転びながら逃げて行く。
追いかけたいところだったが、しかし、クリスと純は未だにノイズに囲まれている。
今は戻って来た相棒と二人、後輩を助けるのが優先だ。
「嗚呼絆に すべてを賭した閃光の剣よ 四の五の言わずに 否、世の飛沫と果てよ──」
〈疾風ノ炎閃〉
翼の剣が炎を纏い、ノイズを燃やし尽くす。
〈STARLIGHT∞SLASH〉
そして、振るわれた槍の穂先から放たれた橙色の斬撃が、周囲のノイズを丸ごと吹き飛ばした。
ノイズが殲滅され、純の上着を羽織りながら二人の戦いを見守っていたクリスは、上に手をかざす。
かざした手の方から順に、ギアと一緒に弾け飛んだリディアンの制服が再構成されていく。
衣服全ての再構成が終わった後、握った手の中にはギアペンダントが握られていた。
「回収完了。これで一安心だね」
純はソロモンの杖を拾うと、収納モードに変形させる。
そして翼は、ギアを解除するとクリスと純へと向かい、頭を下げた。
「一人で抱え込んで……すまなかった。みんなには迷惑を……」
「気に病まないでくれよ……。吹っ切れたんなら、それでいいじゃねぇか」
「僕も気にしてませんよ。それにしても、こんなに殊勝なクリスちゃんが見られるなんてね」
「ば……ッ! それは言わなくてもいいんだよッ!」
純の言葉で真っ赤になるクリスに、純も翼も笑う。
「へぇ、あたしが知らない間に、こ〜んな出来た後輩が出来ていたなんてな」
背後からの声に、翼は振り向き……そして、これまでに見せたことのない程の笑みを見せる。
そこには、還って来た片翼──天羽奏が、腰に手を当てて立っていた。
ギアを解除したその服は、あの日のライブ衣装そのままだ。
彼女の時間が、あの時で止まったままだったのを実感する。
「うん……。わたしの、自慢の後輩だよ」
「見てりゃわかるさ。……その、なんだ……迷惑かけたな」
気まずそうな奏に、純は首を横に振って応える。
「いえ。こうして出会えたことを嬉しく思います。天羽奏さん」
「ああ、あたしの方こそよろしくな
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