第39節「撃槍」
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位相差障壁も展開されている状態だ。
イチイバルはまだ再構成が終わっておらず、アキレウスは時間切れにより冷却がまだ済んでいない。たとえ済んでいても、破損したプロテクターで起動すればコンディションが落ちた状態での使用となり、まともに戦闘が行えない可能性が高いのだ。
まさに絶体絶命。死を覚悟したその時……クリスは無意識に、その名前を叫んでいた。
「──先輩ッ!」
次の瞬間、降り注ぐ蒼き刃の雨がノイズを殲滅していく。
「──ッ!」
目を空けるクリス。驚きに口を開ける純。
『Ya-Haiya- セツナヒビク Ya-Haiya- ムジョウヘ──』
耳に聴こえるは覚えのある調べ。
晴れていく煙の中、地上への亀裂から射し込む陽光に照らされ、佇んでいたのは……。
「翼さんッ!」
そこには、半年前……ルナアタックの頃の旧態ギアを身に纏った翼の姿があった。
「そのギアは!? 馬鹿な、Anti_LiNKERの負荷を抑えるため敢えてフォニックゲインを高めずに、出力の低いギアを纏うだと……ッ!? そんなことが出来るのかッ!?」
「出来んだよ、そういう先輩だ」
調息によって、フォニックゲインと共に意図的に引き下げた適合係数。
それにより、高い適合率を要する限定解除後のギアでなく、今より低い適合率でも纏える旧態ギアと、最低限のフォニックゲインで継戦する戦法。
その名も『アーリーシルエット』。クリスのアーマーパージに比べて継戦能力を有するものの、翼の身体が許容するダメージ量が活動限界という、高い技量と力量にて初めて可能となるシンフォギア運用の「裏技」である。
「颯を射る如き刃 麗しきは千の花 宵に煌めいた残月 哀しみよ浄土に還りなさい──」
まずは数体切り捨てて、ノイズの群れの中に着地する翼。両脚のブレードを展開して逆立ちし、回転しながらノイズを切り裂いていく。
〈逆羅刹〉
純が唄い始める少し前、二人はこんな会話をしていた。
『次で決める。昨日まで組み立てて来た、あたしのコンビネーションだッ!』
『ならば……こちらも真打をくれてやるッ!』
その言葉には、互いに対する確かな信頼の上に交わされた。
(一緒に積み上げてきたコンビネーションだからこそ、目を瞑っていても解る……)
(だから躱せる、躱してくれる……ッ! ただの一言で通じ合えるから、あたしの馬鹿にも付き合ってもらえるッ!)
そして放たれる刃とミサイル。
この時、爆炎に紛れたクリスの一射が、翼の首輪を正確に撃ち抜いた。
「神楽の風に 滅し散華せよ 闇を裂け 酔狂のいろは唄よ 凛と愛を翳して──」
危うく且つ心許ない、こちらもクリスに負けず劣らずの博打っぷり。
しか
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