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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第39節「撃槍」
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い装束。顔は見えなかったけど、とても優しそうな男の人と一緒に……。



「うっ……うぅっ……目を開けてよ、調……」
「開いてるよ、切ちゃん」
「──え? えッ!?」

起き上がると、切ちゃんが両目から大粒の涙を流しながら驚いていた。

「身体の、怪我が……ッ?」
「じー……」

とにかく、わたしが生きてることを確かめた切ちゃんは、思いっきりわたしに抱きついた。

「──調ッ! でも、どうして……」
「たぶん、フィーネの魂に助けられた」
「フィーネに……デスかッ!?」

そしてわたしも、切ちゃんを思いっきり抱き返す。

敵だったはずの装者も、信用できないと思っていた大人も、わたし達を塗り潰すはずだったフィーネまでもが手を貸してくれた。だから、伝えなくっちゃ。
誰かを信じることを。手を取り合って初めて、みんなを救えるんだってことを。

「みんながわたしを助けてくれている。だから切ちゃんの力も貸して欲しい……一緒にマリアを救おう」
「うん……今度こそ調と一緒に──みんなを助けるデスよ」

そしてわたし達は、目の前にそびえる中央遺跡を見上げた。

ff

クリスと翼の激突で裂けた地面の底。

そこには、フロンティアの地下に広がる鍾乳洞が広がっていた。

「シンフォギア装者は僕がこれから統治する未来には不要……ヒッ! ヒィイイッ!」

結晶状の鍾乳石を足場におっかなびっくり降りてきたウェルが足を滑らせる。

体幹がしっかりしていないウェルは、走るとよく転ぶ。足場の悪い洞窟内なら、こうなるのも当然と言えるだろう。

立ち上がったウェルは、周囲を見回す。
爆発し、落下していったとはいえ、念には念を入れて生死を確認しなければ足元を掬われる。

彼の右手には、ソロモンの杖が握られていた。

「その為にぶつけ合わせたのですが、こうも奏功するとは……チョロすぎるぅぅぅッ!」
「誰が、ちょせぇって?」
「……ッ!?」

目の前に立っていたのはクリス。
そしてギアを解除され、地に倒れた翼。

イチイバルは破損し、ヘッドギアが崩れて地面に落ちるが、相打ちとはいかなかったのだ。そして、クリスはウェルの方へと振り返る。

「はあぁぁぁぁッ!?」
「さて、残るはてめぇ一人だぞ、ウェル」
「くッ……フン、あんなままごとみたいな取引、本気で信じたその女が馬鹿なんですよッ!」

ウェルは懐から取り出した起爆スイッチを押す。

「ええ……?」

だが、翼に付けたはずの首輪は爆発しない。
慌てて何度もスイッチを押すが、何度押しても同じだった。

「え、え? 何で爆発しないッ!?」
「壊れてんだよ……ッ! 約束の反故とは悪党のやりそうなことだもんなッ!」

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