第39節「撃槍」
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ィーネの器になったのは、調……なのにアタシは調を……』
勘違いに気付いた時、価値観や判断力、切ちゃんを形作る常識は決壊した。
大好きな人達を守りたくて、一番大好きなわたしに刃を向けたのに……それが全部無駄だったことに絶望した。
『調に悲しい思いをして欲しくなかったのに、できたのは調を泣かす事だけデス……ッ!』
そして切ちゃんは、バリアに弾かれて地面に刺さる、魂を切り裂く力を解放したイガリマの刃を──
『──アタシ本当に嫌な子だね…………消えて無くなりたいデス……ッ!』
自分を切り裂くように、引き寄せた。
『ダメッ! 切ちゃんッ!』
わたしは咄嗟に、切ちゃんの前に飛び出した。
そしてイガリマの刃は……わたしの背中を貫いた──。
『…………調? 調えええええッ!』
思い出した……。
わたし……死んじゃったんだ……。
切ちゃんの声が遠ざかっていく……。
泣きじゃくってわたしの名前を呼んでいる……。
戻りたいのに、わたしは沈むことしかできなくて……このままじゃわたし、切ちゃんに癒えない傷を残しちゃう。
そんなの……ぜったい、ダメ……なのに……。
すると、隣に誰かが立つ気配がした。
「……切ちゃん……? ……じゃない……だとすると、あなたが……」
「どうだっていいじゃない。そんなこと」
背が高くて、長い金髪を靡かせていて、何処かの国の巫女服に身を包んだ女の人。
何処か知っている気がする気配のその人は、わたしを見下ろしながらそう言った。
「どうでも良くない。わたしの友達が泣いている……」
「そうね。誰の魂を塗り潰すこともなく、このまま大人しくしてるつもりだったけれど、そうもいかないものね」
わたしを見下ろす女の人の身体が薄れ始め、粒子が立ち昇っていく。
「でも……魂を両断する一撃を受けて、あまり長くは持ちそうにないか」
「わたしを庇って? でも、どうして?」
「あの子に伝えて欲しいのよ」
「……あの子?」
「だって数千年も悪者やってきたのよ。いつかの時代、どこかの場所で、今更正義の味方を気取ることなんて出来ないって…………今日を生きるあなたたちで何とかなさい」
「立花……響……?」
「いつか未来に、人が繋がれるなんて事は、亡霊が語るものではないわ……」
そう言って、先史の巫女は穏やかな顔で消えてゆく。
でも、わたしは見た。この耳で聞いた。
永遠の刹那に存在し続ける巫女は──
「──ああ……ああ……そんなところに居たのね……。あなたをずっと待たせてしまったのは、私の方だったのね…………やっと逢えた……。逢いたかったわ……エンキ……」
最期に、満足げに笑いながらこの世を去って行った。
青い髪に青
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