第39節「撃槍」
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「誇りと契れ──ッ! はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
息を切らし、マリアは遂に膝を付く。
フォニックゲインの高まりに合わせて発光していたギア各部の光も消え、月遺跡へと照射されていた光も細く、弱まっていく。
『月の遺跡は依然沈黙……フォニックゲインが足りません……ッ!』
「私の歌は……誰の命も救えないの……ッ! セレナ……ツェルト……うっ……うぅ……」
床に手をつき、嗚咽と共に泣き崩れるマリア。
人類のため、セレナやツェルトの犠牲を無駄にしないためと謳う歌では月の落下に抗えない。
生まれたままの感情を覆って隠すシンフォギアはどこまでも黒く、重たかった。
そして、その光景をまるで他人事のように見ている世界中の人々。
その中でも、戦場で唄い戦う少年少女を知る7人だけが、何かを感じ取っていた。
「この人、ビッキーたちと同じだね……」
「うん……」
「誰かを救うために歌を歌うなんて……」
創世、弓美、詩織は街頭ディスプレイを見上げながら呟く。
「でも……この歌、何か足りねぇんだよなぁ……」
「確かに……。どこか心に響かないというか……」
「月が落ちてくる、というのは分かった。助けてあげたいとも思う。でも……」
「この歌……マリアさんの心が籠ってない……。歌ってるマリアさんが全然笑ってないんじゃ、意味がないよ……」
紅介、飛鳥、恭一郎は何とも言えない表情で呟く。そして、流星の言葉は、誰よりも的を射ていた。
自分の本当の心を剥き出しにしていないマリアの歌は、誰の心にも届いていないのだ。
その間にも、世界終末のタイムリミットは刻一刻と迫っていた。
ff
深い、深い海の底に沈んでいくみたいな……そんな感覚の中で目を開く。
見上げる先の光はどんどん遠ざかって、切ちゃんの声がとても遠く聞こえた。
わたしは……何があったんだっけ……。
記憶を辿り、直前までの出来事を振り返る。
……わたし、切ちゃんと喧嘩して……確か……そうだ、互いの絶唱をぶつけ合って……それで……。
『アタシが調を守るんデス……たとえフィーネの魂にアタシが塗り潰される事になっても──ッ!』
『ドクターのやり方で助かる人たちも、わたしと同じように大切な人を失ってしまうんだよッ!? そんな世界に生き残ったって、私は二度と唄えない──』
『でも、それしかないデスッ! そうするしかないデスッ! たとえ、アタシが、調に嫌われてもおおおおおおッ!』
『切ちゃん──もう戦わないでッ! わたしから大好きな切ちゃんを奪わないでッ!』
そう、その瞬間……両腕の鋸を破壊されて無防備になったわたしの手から、バリアみたいなものが……。
それから、その先は──
『……まさか、調……デスか……? フ
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