第三章
[8]前話
「本当に」
「よかったわね、それでね」
美里は笑顔の父に自分も笑顔になって話した。
「最近あの子達ネットでも評判なのよ」
「ネットでもか」
「二匹共可愛いってね」
「それはいいことだな」
「ええ、本当によかったわ。ただね」
ここでだ、美里は。
自分に二匹を預けてくれた老婆のことを思い出してそうして二匹を見つつ父に言った。
「私にこの子達を預けてくれた人だけれど」
「お隣さんだった人だな」
「今老人ホームにおられるけれど」
彼女のことを思いつつ言った。
「どうしてるかしら」
「一度聞いてみたらどうだ?」
父は娘に今はすっかり暗くなっている店の中で話した、白とダークブラウンの清潔な店の中は今は静かだ。
「ご本人にな」
「そうね、一度お伺いして聞いてみるわ」
「それじゃあな」
父も言ってだ、そうしてだった。
美里は老婆がいる老人ホームの方に行った、そのうえで老婆と老人ホームのロビーで会ってくつろいだ中で二匹のことを話すと。
老婆は美里に優しい微笑みで言った。
「私はあの子達が幸せならね」
「いいですね」
「それだけでね」
充分だというのだ。
「もうね」
「そうですか」
「あの子達元気だよね」
「とても元気です、毛並みも奇麗でご飯もよく食べてよく寝て」
「よく散歩もしてだね」
「そしてお店でも評判で」
先程話したこの話もした。
「凄く幸せそうです」
「それは何よりだよ、じゃあね」
「それならですか」
「私から言うことはないよ」
美里に微笑んで話した。
「一切ね」
「そうなんですね」
「ええ、じゃあこれからもあの子達を宜しくね」
老婆は美里に言った、その顔はこの時も微笑んでいた。
美里はその老婆と別れて家に帰った、そうしてギンとシルバーに挨拶をした。その翌日は仕事だったが。
美里は車で喫茶店に行く時に彼等に笑顔で声をかけた。
「ギン、シルバー、今日も行こうね」
「ワン」
「キャンキャン」
二匹は尻尾をぱたぱたと振って美里に応えた、そしてだった。
美里に車に乗せてもらって喫茶店に行った、そうして店の中で優しい常連の人達に愛された。二匹の目はきらきらとしていた。
喫茶店の犬達 完
2020・6・22
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