六十匹目
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「ふゆああぁぁぁぁぁぁん……………」
「ご主人様。起きないのですか?」
「くゆぅぅぅぅぅん…………」
いよいよ暑くなってきた。
フローティアの気候はよくわからないが、少なくとも王都リベレーソの気候は日本と似ている。
ティアに水をやってから中に入るとひんやりして気持ちいい。
だからティアは何時もの数倍の体積になってもらっている。
饅頭みたいな形のティアの中に首から下を沈めている。
中でティアが背もたれをつくってくれているので溺れる心配もない。
もしもティアがこのまま人の姿になったら2〜3メートル行くかもしれない。
朝食を取った後はずっとこうしている。
夏とはいえ、シュリッセル家の大人達は忙しい。
なんせお婆様もお母様もお父様も国防の要だ。
加えて言えばお婆様は文官のトップも同然。
お母様は大学教授のようなポジション。
お父様は将軍の一人だ。
「暇だ……」
「何時もと大して変わらないじゃないですか」
「とは言うがなティア。科学世紀を生きていた僕からすればこの世界は少し味気ないぞ。
なんせ娯楽があまりないからな」
「魔法の研究をなさっては?」
「えー……今特にアイデア無いし」
4Mの研究…というか実験はまぁまぁ上手く行ったし、サッカリンの件は僕が手を出せる範囲じゃないし。
4Mの素材を使ってルイス達の家も庶民街に作った。
……まぁ、一部の奴らはこの家でメイドをしているが。
お婆様曰くルイス達は僕の直属らしい。
しかしこれと言って人を使う事もないのでエリザとお婆様に預けている状態だ。
エリザが率いていた群の中には僕より年下の幼女もいる。
猫耳ロリメイド……。
あんまり可愛がるとエリザに怒られるので時々着せ替え人形にしている。
「何かまた新商品を考えるのはどうです?
御約束のリバーシなど」
ティアには僅ながら、断片的ながらも俺の記憶がある。
魔力(ティア曰く『命の欠片』)を注いだ時に記憶も共有したらしい。
「えー……パクりっぽくてヤダ。それにこないだ猫カフェ開いたばっかりだよ?」
猫カフェ・サニャトリウムは大繁盛。
武官文官商人庶民問わず客が入る。
一部文官武官からそれぞれの詰所近くに作ってくれという要望もある。
何が言いたいかといえば、そろそろ何処かから恨まれてもおかしくない。
面倒だ。
暫く大人しくしておこう。
「既に手遅れでは?」
「言うなよ。考えたくもない」
それこそ下級文官の年収を軽く超える額を持つことになりそうだ。
いや、だって猫カフェに師団長とか上級文官とかが入り浸ってるんだよ?
そりゃぁ儲かる
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